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Oracle Open World 2013レポート

富士通、OOWで次世代プロセッサ/UNIXサーバー戦略を語る

2013年09月25日 13時00分更新

文● 大河原克行

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 富士通は、米オラクルがサンフランシスコで開催中の「Oracle Open World San Francisco 2013(OOW 2013)」の会場で、国内および海外プレスを対象にそれぞれ会見を行い、同イベント初日の基調講演で発表された「Athena+(SPARC64 X+)」プロセッサや「Fujitsu M10」サーバーに対する取り組みについて、同社 代表取締役副社長の佐相秀幸氏と執行役員常務の豊木則行氏が説明した。

富士通 代表取締役副社長 佐相秀幸氏

同 執行役員常務 豊木則行氏

 佐相氏は、「Fujitsu M10は、ビッグデータを支える強力な商品であり、エリソンCEOが基調講演で語った『row(行)』と『column(列)』のデュアルフォーマットによって実現する『Oracle Database In-Memoryオプション』を活用した高性能な環境を、世界で最初に実現できるものとなる」と述べた。

 また豊木氏は、「データベースだけでなくあらゆる領域において、富士通はオラクルと長年の提携関係にある。この関係をさらに強化していくことになる」と、両者間の長期的なパートナーシップによる強みを強調した。

 以下では基調講演や会見を通じて明らかにされた、Athena+やFujitsu M10に関する富士通の取り組みをまとめよう。富士通は今回のOOW SF 2013において、AthenaおよびFujitsu M10のロードマップを公開している。

次世代「Athena+」プロセッサで投入される新技術

 まずAthenaでは、次々世代の投入計画まで明らかにされている。いずれもFujitsu M10の進化を担う心臓部となるプロセッサだ。

2014年に出荷される「Athena+(SPARC64 X+)」プロセッサ

 公開されたロードマップによると、2014年にはクロック周波数3.5GHz以上、16コア、32スレッドを擁する「Athena+」が登場し、現行比で1.3倍のスループットを実現する。ここでは「CMI(Coherent Memory Interconnect)」という新たな技術も採用される。さらに2015年には、4.5GHz以上、24コア、96スレッドを持ち、Athena+比で2倍のスループットを実現する「Athena++」が、2016年度には「Athena+++」として次々世代のCPUを投入する計画だ。

 なかでも注目されるのが、Athena+で新たに採用されるCMIである。豊木氏は次のように説明する。

 「一般的に、計算能力を拡張する場合には、CPUを増設するスケールアップ型と、オープン系などで用いられる横に並べてその間を高速インターコネクトを行うスケールアウト型がある。しかしスケールアウト型では、装置間のデータのやりとりや排他処理のための通信がボトルネックになっていた。CMIはスケールアウト型における新たな技術であり、この課題を解決して高速化するために知恵を絞ったもの。InfiniBandとは次元が違う技術。I/O処理ではなく、ほかのCPUが使っているメモリーに直接アクセスすることから、転送時間が1桁短縮する。スケールアウトの効率性が上がる。ぜひ期待してもらいたい」(豊木氏)

 Athena+への進化のポイントは、CMIによる部分が大きいといっていいだろう。

 もうひとつ、Athena+においては、現行のAthena同様に「ソフトウェア・オン・チップ」も特徴となっている。ソフトウェア・オン・チップは、米オラクルのオラクルデータベースサーバーテクノロジーズ担当シニアバイスプレジデント、アンドリュー・メンデルソン氏が命名したもの。

 「(ソフトウェア・オン・チップでは)時間がかかる処理をCPUのハードウェアに直接インプリメントし、圧倒的な高速性を実現している。Column間などの処理で有効な処理を取り込むといったように、ソフトウェアとハードウェアの分担のバランスを移行させることができる。今回のAthena+ではさらにチューニングを行い、代行処理ができる範囲を広げたり、もともとインプリメントしていたものをさらに高速化するといったことができる」(豊木氏)

 これらの開発については、オラクルの本社があるレッドウッドシティの開発拠点に、富士通のハードウェアの開発者を派遣し、共同開発しているという。豊木氏は「今後、さらに親和性を高め、革新的なパフォーマンスを実現したい」と語った。

(→次ページ、シェア奪還の重要な切り札、Fujitsu M10サーバー)

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