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PCオーディオでアイドルを聴く人がいるから、高音質を届けたい

オーディオメーカーと音楽制作者が考える、本物のいい音とは (4/7)

2013年10月01日 15時00分更新

文● 編集部、外村克也(タトラエディット) 写真●今井宏昭

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ダサいと感じた楽曲が今の時代に合っている

小島 松隈さんが作曲される場合、曲を先に提供して、その後に歌詞が乗るんですか?

松隈 9割そうですね。あとから歌詞が乗ります。

小島 そのオケが完成されるときには歌詞はできているんですか?

松隈 できていない場合が多いですね。

小島 おもしろいですね。

松隈 BiSの場合はオケの内容とか仮歌にデモで歌っているフレーズが使われています。そこから勝手に世界感が広がって歌詞ができることもあるので。ですが、通常は歌詞が最後ってパターンがかなり多いです。

小島 もちろん曲や歌詞も重要ですが、今の音楽ではそれに並ぶくらいアレンジのカッコよさが重要なポジションになっている気がします。メロディーや歌詞だけで何十年も生き残っている曲が、リリース当時のアレンジのままだと非常に古臭く聴こえることもある。僕らが90年代に好きだったりカッコいいと思っていたようなサウンドが、「今の」アイドル系のジャンルに多く、多くのファンを惹きつけていると思うんです。ただ、当時のアレンジを今復活しても、古臭く感じてしまうと思うんですが。

松隈 90年代、僕は高校生だったので、結構その時代から同じような音を作っているつもりなんですよ。

小島 そのあたりは普遍的なのでしょうか。

松隈 僕は今33歳なんですけど、まわりのクリエイターもそれくらいの世代の人が結構多いです。曲を聴くと、やりたいことが似ているなと思います。80年代後半から90年代、2000年代の音楽を聴いて育った人たちが、エンジニア的なサウンドの面では今風にこだわってる。

小島 90年代といえば、かなりデジタルを押し出した感じだったと思うんですけど。

松隈 そうですね。シンセだと1990年代の音がかっこいいですもんね。

小島 もう一周しちゃっている感じですか?

松隈 ちょっと語弊のある言い方かもしれませんが、僕はダサいと感じたら今の時代に合っていると思うんです。懐かしめのフレーズを自分で弾いてみて「ダサっ」と思ったら、むしろ積極的に使ってみる。すると結構ハマる。むしろそのときカッコいいと半年後はダサくなっている可能性はありますね。

小島 一周することを見込んで、ちょっと前のダサいものがもう一度カッコよくなるタイミングを見計らうってことですか。

松隈 それは結構あるかもしれない。そのまんまダサく感じられることも多々ありますが(笑)。ちょっと先読み間違えた、みたいな。

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