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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第221回

4コアAtomの「Bay Trail」、タブレット向けは新機能満載

2013年09月23日 17時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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利用しないページをメモリーから開放し
消費電力を削減

 メモリーに関しては先ほど触れた通りであるが、少し説明を追加しよう。下のグラフはおそらくスタンバイ時の消費電力(ただしメモリー+メモリーコントローラー)と思われる。

スタンバイ時の消費電力と思われるグラフ。左からCloverTrail+、Bay Trail-TでLPDDR3を2ch、DDR3Lを2ch、LPDDR3を1chという4つの構成で、縦軸はハッキリしない(相対値ではないようだ)が、mWと思われる

 やはりぶっちぎりでDDR3L×2chは高くなっており、これがDDR3Lでは1chしかサポートしない理由であろう。それはともかく、最後に“Proactive page closing policies to close unused pages”という項目があるのが目を引く。「利用しないページは率先してクローズする」ということだが、この仕組みは次の通りだ。

 Windows 8にしろAndroidにしろ、仮想記憶に対応したOSなので、メモリーは「ページ」という単位で管理をする。このページを不必要に保持しておくと、その分消費電力が増える。そこで、使っていないページの内容はどんどんストレージに退避し、かつページそのものを開放するのである。

 ちなみにこれを積極的に進めると「保持しないページはリフレッシュしない」という方法もあるが、今度はDRAMをページ単位でリフレッシュする/しないの管理をしなければならない。管理機構が非常に複雑になることもあってか、ここまでの細工はしていないようだ。

モバイル向けでは重要なカメラ制御

 次がISP(Image Signal Processor)、つまりカメラ制御である。Bay Trail-Tの場合、露光(AE)、フォーカス制御(AF)、ホワイトバランス(AWB)の3つはCPU側で処理をするが、それ以外の諸々(電子手振れ補正、ノイズ削減、カラーバランス調整、など)は全部ISP側で処理することになっている。

カメラ制御の概要。PCだとおまけ扱いだが、スマートフォンやタブレットではカメラは必須になっており、当然これに対応した機構が必要になる

2次キャッシュのほうが
CPUコアより発熱が高い

 最後に消費電力周りに関して説明しよう。下の画像はインテルより提供されたBay Trail-Tのダイ写真である。

Bay Trail-Tのダイ。これは4コアのダイのものだが、全体のうちにCPUコアが占める面積はそれほど大きくない。おそらく2コアのものも、これと同じダイを使い、2コア分を無効化していると思われる

 このうち、何がどこにあるのかを記したのが下図だ。右側は全ブロックがフル稼働している状態での温度を撮影したものであるが、意外にも一番発熱しているのはCPUコアそのものよりも共有2次キャッシュというのはなかなかおもしろい。

ダイの構造。右は各ブロックの温度をサーマルモニターで見たものだ

 ちなみにBay Trail-TはCPUとGPUでTurbo Boost動作のマージンを共有するほか、Uncoreにあたる部分も細かく電力管理するので、これが完全スリープ時だと下の画像まで温度が下がる。

完全スリープ時の状態。ごく僅かに電力消費している部分はあるものの、全体がグレーアウトしており、消費電力がほぼ0に近いことがわかる

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