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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第5回

LUXMANの4兄弟「L-590AX」「L-507uX」「L-550AX」「L-505uX」を比較試聴

最高のプリメインアンプを求め、LUXMANの試聴室を訪問した (7/8)

2013年09月30日 11時00分更新

文● 編集部

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●L-590AX ~広いスケールと美音で部屋を満たす

 L-590AXは純A級30W(8Ω)。L-550AXで述べたような純A級とAB級のキャラクターの違いはより強く感じさせる。Suaraのソースでは曲冒頭の静けさ、ボーカルの透明感、そしてふんわりとはじけて広がるような抜けがよい高域が心地よい。バックに流れるバイオリンの弦も滑らかで美しい。

 はじいた伴奏のギターは明瞭だが、鈴をコロンと転がしたような軽やかさもある。低域はL-507uXの力強さに比べると引き締まり、タイトだ。力感は控えめになる印象。全体的にL-507uXのような押し出し感はないが、より自然で暖かさ・やわらかさを感じる。Suaraのソースで言えば、きちんと定まったボーカルを中心に自然と残響が広がり、ボーカルや楽器が空間になじみ、音の空間を演出する。こうした人の声とアコースティックな楽器を組み合わせたソースは絶品だ。

 S/N感や解像感といったグレードに関わる要素では、L-590AXとL-507uXは甲乙つけがたいが、音色は異なる。L-507uXは高域から低域までバランスよく鳴り、誇張がないストレートな表現。音の歯切れがよく明快だ。対するL-590AXはストリングスやクラシックギターのようなアコースティックなソースを豊かに鳴らすイメージで、音にちょっとした余韻や温度感がある。音数を重視するか、響きを重視するか。このあたりが、純A級とAB級を使い分けるポイントになりそうだ。

 もうひとつ書いておきたいのは、三角帽子の広大な音場。L-507uXがホールの中央、あるいはステージを全体を見渡せるような2階席で少し客観的に聴くのだとしたら、L-590AXはかぶりつきに近い。奥行きの表現は当然秀逸だが、同時に歌手が目の前に立っているような臨場感がある。

 おススメはボーカル曲。それもアコースティックな伴奏と組み合わせたものだが、L-550AXより編成が大きなオーケストラや声楽でもオペラのようにスケールの大きな楽曲がよさそうだ。音の広がりと美しさの調和がすばらしい。

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