新次元のエンターテインメントシステムならではの、
新たなハードル
Xbox Oneは、2013年11月22日に、米国をはじめ13ヵ国で販売が開始される。だが、残念ながら日本での発売は、2014年になる。
スペンサー氏は、「完全なエンターテイメントシステムとして、日本のユーザーのみなさんに製品を提供したいと考えたことが、発売が2014年になる理由」と前置きし、「それぞれの国で、どんなテレビ番組を見ているのかといったことは、Xbox Oneでは重要なローカライズのひとつになる。日本市場向けの完全なローカライズを進めるための時間が必要である」とし、Xbox Oneで重要な機能のひとつであるテレビとの連動において時間をかけていることを示す。
また、日本語での音声認識にも時間を要していることを明かす。
「日本語で音声認識のデモストレーションを行なえるようになるのは、やはり2014年になる。10回声をかけて、1回しか応答しないようなものであれば、ユーザーの多くは幻滅して、この機能を使わなくなる。精度を高めることが必要であり、ここでも完全なものとして市場に投入したいと考えている」と、スペンサー氏は語る。
これまでのゲーム機とは異なるエンターテイメントシステムだからこそ、これまでとは違う新たなハードルが、「ローカライズ」という作業の上で発生しているのは明らかだ。
Xbox One成功の鍵
では、これまでのゲーム機とは異なるエンターテイメントシステムとしてのXbox One成功の鍵は何になるのだろうか。
スペンサー氏は、「Xbox Oneの発売時には、やはりゲームコンテンツが重要になる。ここにフォーカスを当てたプロモーションが中心になるだろう」としながらも、「しかし、Xbox Oneが実現するオールインワンエンターテイメントシステムとしての強みを発揮するには、テレビとの連携が重要な要素になるだろう」と語る。
一方で、日本マイクロソフト インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネス ゼネラルマネージャーの泉水敬執行役はこんな表現をする。
「ゲームユーザーに向けて、最高コンテンツを提供することは、Xboxとして課せられたテーマであり、ここには間違いなく力を注がなくてはならない。だが、これまでと異なるのは、ゲーム機としての価値感を高めていくだけでなく、生活の中で必要とされるデバイスに、Xbox Oneがなれるかどうかという点。大きな家でも、ワンルームのマンションでも、必ずテレビがあるのは、それが生活に必要なものであると認識されているから。Xbox Oneは、オールインワンエンターテイメントシステムとして、生活の中にどれだけ入り込めるかが鍵になってくる」。
Xbox Oneの進化にあわせて、同社が目指す方向性も大きく変わってきていることを示す言葉だといえよう。
Xbox Oneの国内市場投入の遅れは、日本マイクロソフトのエンターテイメントシステムという新たな領域において、完全な準備が整っていなかった点が大きいといえる。その準備のための超えなくてはならない壁は、我々が思う以上に高いのだろうか。
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