このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業界人の《ことば》から 第57回

Qは発売前から、リコーを救う製品だと思っていた、その理由は──

2013年09月24日 09時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 三浦社長にとって、重視する取り組みのひとつとなるのが、2013年度のカメラ事業の黒字化だ。

 2011年にペンタックスのカメラ事業を買収。ペンタックスブランドを維持しながら、中判デジタル一眼レフカメラ事業やミラーレスカメラで存在感を高めているほか、これまで、リコーが展開してきた高級コンパクトカメラ「GR」シリーズも引き続き高い評価を得ている。

 全天球カメラも、両社のカメラ事業のノウハウが融合して生まれたものだという。

 なかでも、三浦社長が強く訴求するのがミラーレスカメラのQシリーズ。「リコーが買収する前に、ペンタックス側で仕込んでいたもの。Q10として発売し、さらに上位モデルのQ7へとつながっている。売れ行きは非常に好調であり、Qシリーズの価格は落ちないという特徴がある」と胸を張る。

 そのQシリーズに対して三浦社長は、「Qは、発売前から、リコーとペンタックスのカメラ事業を救う製品だと考えていた」と語り、「ペンタックスのPと、リコーのRの間がQだから」とジョークを飛ばす。

 だが、実際に、Qは、リコーとペンタックのカメラ事業回復の象徴が「Qシリーズ」であり、その製品は、ミラーレスカメラ市場で、高い評価を得ることになった。

 「カメラ事業は、面白い事業になってきた」と三浦社長は語る。

 そして、リコーとペンタックスのカメラ事業の融合は、赤外線カメラやセキュリティカメラ、デジタル双眼鏡などによるセキュリティ分野への展開や、FAレンズ/カメラ、被写界深度拡大カメラ、超小型ステレオカメラなどのFA(ファクトリーオートメーション)分野においても生かされている。

 「リコーとペンタックスの技術を融合して、産業用途に新たな価値を提案していく」と、三浦社長は自信をみせる。

 三浦社長は、「ミッション(使命感)、パッション(情熱)、インテグリティ(誠実性)をもって、仕事に取り組むことを社内に徹底したい」とする。

 リコーの2013年度の業績見通しは、売上高が前年比10.7%増の2兆1300億円、営業利益は前年比120%増となる1400億円を計画。営業利益率は6.6%を見込む。「成長(Growth)と体質改造(Transformation)の同時実現」という二兎を追う戦略は、着実に成果をあげているようだ。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ