
今回のことば
「Qは、発売前から、リコーを救う製品だと思っていた。それは、PとRの間だから」
(リコー・三浦善司社長)
製品ごとの事業体制から、顧客ごとの事業体制に
リコーの三浦善司社長は、2014年度からスタートする18次中期経営計画の基本的な考え方を示した。
正式な発表は2014年5月の予定で、半年も前倒しにしてその考え方を示すのは異例のものだといっていいだろう。今年4月に社長に就任した三浦氏が、2013年度を最終年度とする17次中計の達成、そして自らが社長として初めて策定することになる18次中計に対する強い思いが伝わってくるといえる。
三浦社長は、「18次中計は、リコーグループの長期的発展を確実にするための3年間。18次中計の早い時期にROEの最高値を更新し、年間1000億円規模のフリーキュッシュフローを持続的に創出できる体質を確立する」と宣言した。
あわせて、これまでは製品ごとの事業体制となってたものを、顧客ごとの組織体制へとシフト。基盤事業である「オフィス事業領域」のほか、セキュリティやファクトリーオートメーションなどの「インダストリー事業領域」、デジタルカメラなどの「コンシューマー事業領域」、商用印刷の「プロダクションプリンティング事業領域」といった4つの顧客軸にわけた事業戦略の策定と実行に取り組む姿勢を強調した。
リコーらしい特徴ある製品
そのなかで、リコーが持つユニークな製品がいくつか紹介された。
ひとつは、「Ocutag(オキュタグ)」である。モバイル機器用のビジュアルサーチプラットフォームとするOcutagは、Snap Searchという拡張現実(AR)機能により、映画のポスターをスマートフォンで撮影すると、予告編やメイキングビデオが視聴できたり、TwitterなどのSNSにすぐにアクセスできるというものだ。
すでにDisney UTV Digitalが、インドで提供を開始したUTV Starsで採用。各種コンテンツやサービスに連動できるようにしている。
もうひとつが、一度に360度の画像を撮影することができる全天球カメラの「THETA(シータ)」だ。
「用途は、よくわからない」と三浦社長は笑うが、英国、フランス、米国での発売を決定し、話題を集めている。価格は399ドル。
「たとえば、iPhoneと連携させることで、楽しい使い方ができる。BtoCだけでなく、BtoB分野にも展開していくことができるだろう」と、三浦社長は期待を寄せる。

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