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止められないクラウドに「clustered Data ONTAP」 第2回

定番ユニファイドストレージが高いスケールアウト性を得た

未曾有の拡張性を得たclustered Data ONTAP 8.2の魅力

2013年09月30日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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clustered Data ONTAP 8.2で注目される新機能

 clustered Data ONTAP 8.2では拡張性のみならず、機能面でも大幅な強化が図られている。特に最新のWindows環境に導入することで、さまざまな先進的な機能を利用できる。以下、clustered Data ONTAP 8.2で注目される新機能を紹介しておこう。

IOPSやスループットを指定できるQoS

 QoS(Quality of Service)はパフォーマンスの上限をポリシーとして設定し、テナントやアプリケーション単位に割り当てる機能だ。公平性と効率性を両立しなければならないクラウド環境におけるストレージでは必須の機能となる。

 クラウド環境の共用ストレージでは、複数のテナントやワークロードが混在することになる。そのため、あるワークロードが別のワークロードに影響を与えてしまう。ディスク負荷が高く、他のVMにも悪影響を与えるモンスターVMが現れる可能性もあり、管理者にとっても頭が痛いところだ。

 しかし、QoSの機能を使うと、IOPSやスループット、レイテンシなどの上限を数値で指定し、SVMやボリューム、LUN、ファイルといったストレージオブジェクトに割り当てることができる。つまり、統合ストレージのケースでは、重要度やリアルタイム性の高いアプリケーションを指定し、負荷の高いアプリケーションの上限をコントロールすることが可能だ。商用サービスにおいては、テナントが増えることによるパフォーマンス劣化を避け、顧客が選択したサービスレベルのパフォーマンスを安定して提供することができる。

SMB 3.0対応でHyper-V環境がますます身近に

 Windowsの最新ファイル共有プロトコルであるSMB 3.0に対応した。SMB 3.0では「継続的可用性」を高める特徴をいくつか持っており、クライアントやストレージがクラスター環境でフェイルオーバーした際も、オープンしたセッションをそのまま維持できる。そのため、ハードウェア、ソフトウェアの障害、コントローラーのメンテナンス、アップグレードにおいても、高い可用性を実現する。

 SMB 3.0対応でなにがうれしいのか? やはり、Hyper-Vの仮想マシンの置き場所としてCIFS領域を利用しやすくなる点だ。Hyper-Vの仮想マシンファイル(VHD)をFAS/Vシリーズの共有フォルダに配置することで、他のサーバーからVHDを参照しやすくなる。前述したSMBの継続的可用性の機能を用いることで、耐障害性は著しく高められる。WindowsのVSSを用いることで、整合性のあるバックアップを容易に作成することが可能だ。

Hyper-Vの仮想マシンファイルをCIFSの共有フォルダに配置

 今のところSMB 3.0に対応するWindows Server 2012またはWindows 8との組みあわせでのみ利用できる機能だが、エンタープライズでもクラウド事業者にとって大きなメリットといえる。

透過的なボリューム移動を実現

 clustered Data ONTAP 8.2で搭載される「Transparent Vol Move」では、まさに透過的なボリューム移動を実現するもの。任意のアグリゲート間の差分をバックグラウンドでコピーし、トラフィックが少ないタイミングで自動的に切り替えることができる。

任意のアグリゲート間でデータを透過的に移動させる「Transparent Vol Move」

 重複排除や圧縮、ミラーリング、スナップショットなどの変更は一切なし。ボリュームが移動しても、ホストやクライアントは中断せずにアクセスできる。

高速なデータコピーを実現するODX

 ODX(Offload Data Transfer)はストレージの機能を利用したデータコピー機能で、今までサーバー側でやっていたコピーや移動をストレージ側で実行するものだ。こちらもWindows Server 2012/Windows 8以降でサポートされている機能になる。

 たとえば、ストレージ内にLUN1とLUN2が存在しており、クライアントのコマンドでLUN1からLUN2にファイルをコピーする場合、サーバーがファイルを読み取り、データを転送し、LUN2に書き込むという手順になる。せっかくLUN自体は同じストレージにあっても、わざわざ迂回し、ネットワークに負荷をかけてデータをコピーすることになるわけだ。これに対してODXでは、サーバーがストレージに対してトークン(命令)を出すだけで、あとはストレージ側はコピー処理を行なう。処理が終わると、サーバー側に完了のメッセージが届く。

ODXによる高速なデータコピー

 これにより、サーバーの負荷が軽減されるのはもちろん、処理時間も大幅に短縮。ネットワークにデータが流れないので、帯域も大幅に減らすことができる。サイズの大きな仮想マシンのマイグレーションや、夜間バッチでのコピー処理にも効果を発揮しそうだ。

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 このようにclustered Data ONTAP 8.2では、クラウド環境での利用を前提にさまざまな機能拡張が施されており、エンタープライズのユーザーだけではなく、クラウド事業者も十分に満足できる仕上がりとなっている。次回は実際にこうしたclustered Data ONTAP 8.2のパワーを体感しているクラウド事業者に話を紹介してみたいと思う。

(提供:ネットアップ)

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