HDMI Licensing LLCは「HDMI 2.0」規格に関するプレスブリーフィングを開催した。
HDMI 2.0は9月4日に「IFA 2013」にて発表されたHDMIの最新バージョン。帯域幅を従来(HDMI 1.3)の10.2Gbpsから18Gbpsに大幅拡大したことで、4K解像度(4096×2160ドット)の50/60p出力などを実現している。
4K解像度はHDMI 1.4において24/30pまでの伝送が可能だったが、HDMI 2.0に対応した機器同士であればケーブル1本で60pまでの伝送が行なえる。
また、アスペクト比は従来の16:9に加えてシネマ仕様の21:9に対応。映画コンテンツをそのまま表示可能となる。
新機能としては、単一のスクリーンで2つの映像表示を実現する「デュアルスクリーン」機能や、最大4つの音声を同時配信する「マルチストリームオーディオ」も盛り込まれた。これらは主にゲームなどで活用されることが期待される。
また、これまでは8chまでだったサラウンドオーディオチャンネルは最大32chまでに対応。さらに、従来の倍となる最大1536kHzのオーディオサンプリング周波数にも対応する。
さらに「ダイナミック自動リップシンク」機能も搭載する。これは動画処理の問題でオーディオと動画のタイミングがずれている場合(例えば映像はテレビ、オーディオはAVアンプに出力している場合など)、リアルタイムでバッファの調整を行なうことで完全な同期を実現する機能だ。
HDMI機器をコントロールできる「HDMI CEC」についてもバージョンが「2.0」となり、ワンタッチ再生やワンタッチ録画、スタンバイ、リモートコントロールパススルー、システムオーディオコントロールといった機能が必須として搭載される。
これらの機能は既存のHDMIケーブルで利用可能。なお、18Gbpsの帯域が必要な機能についてはハイスピードケーブル(カテゴリー2)のケーブルが必要となる。
なお、既存のHDMIアダプター(搭載機器メーカー)がHDMI 2.0を利用するには追加の契約が必要。ただし追加の年会費などは必要ないとのことだ。
今回のプレスブリーフィングで説明を行なった、HDMI Licensing LLC社長のスティーブ・ベヌーティ氏は「5年、10年先を見据えて市場の先をいかなければならない」と語る。「10年以上前にはHDMIは部屋の中で使うもの」だったが、今や「ポータブル機器でも使えるもの」であり、「あらゆる状況を考慮しながら市場ニーズを満たしていく」と述べた。
2.0は「HDMIフォーラム」が初めて開発した規格
これまでのHDMI規格(1.4bまで)はHDMIコンソーシアムの設立企業7社が開発していたが、機器業界からのさらなる開発参加を促すため、2011年10月に「HDMIフォーラム」という非営利互恵団体を結成。HDMI 2.0はHDMIフォーラムが初めて開発した規格となる。
HDMIフォーラムは11メンバーからなる理事会が運営し、現在88社がメンバー企業として参加している。メンバーは既存のHDMIアダプターである必要がなく、自由に参加可能とのこと。
ただし、フォーラムメンバーはあくまで規格を開発するメンバーであり、その規格を利用して製品を開発するためにはHDMIアダプターにならなければならない。
なお、HDMIアダプターメンバー数は現在1300社以上で、そのうち中国が34%、台湾が19%で過半数を占めている。