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SDNに必要なのは夢物語よりわかりやすいメリット?

ストラトスフィアが目指す現実路線のSDNソリューションとは?

2013年09月12日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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最新のSDN技術をカバーし、ソリューションとして提供

 ストラトスフィアは、SDNをベースとした次世代のクラウド環境を実現するソフトウェアスタックを開発・販売する会社で、インターネットイニシアティブ(IIJ)とACCESSの合同会社として2012年4月に設立されている。サービス事業者向けのネットワーク仮想化プラットフォーム「Stratosphere SDN Platform(以下、SSP)」のほか、最近では企業向けのSDNソリューションである「OmniSphere」などを展開している。

 石黒氏の後に登壇したストラトスフィア 代表取締役社長 浅羽 登志也氏は、同社の最新の取り組みについて解説した。

ストラトスフィア 代表取締役社長 浅羽 登志也氏

 ストラトスフィアが目指すのは、「いつでもどこでも、利用したいネットワーク機能を、ソフトウェアからオンデマンドでプロビジョニング可能なネットワークサービス基盤を提供する」ことだ。浅羽氏は、「データセンターにのみ特化するのではなく、幅広い分野でのネットワークリーチを目指す」と述べ、データセンターやキャリアのみならず、オフィス、WAN、モバイル、家庭にいたるまでさまざまな環境を対象としていると語った。

 ストラトスフィアのサービス事業者向けソリューションであるStratosphere SDN Platformでは、MPLS/PBBなどの閉域網と連携し、複数のデータセンターをネットワークでつないだ仮想データセンターを実現できるという。また、VLANとMPLSのヘッダを変換することで、ポイントツーポイントだけではなく、L2ネットワークを面として展開していくという。

 Stratosphere SDN Platformは、秋口にOpenFlow 1.3やMPLSをサポートした1.1.4が登場。来年予定の1,2では、OpenStackやOpenDayLightへの対応、Amazon S3 API対応、Broadcom Trident2の機能サポートを実現する予定となっている。その先はBGPとの連携のほか、石黒氏が説明した光伝送の中継までSDNと連携させ、「レイヤーの低いところのパス管理までコントローラブルにしていく」(浅羽氏)という。

製品のロードマップ

 また、浅羽氏はInterop Tokyo 2013でも披露された「OmniSphere」についても言及した。OmniSphereは組織やレイアウト変更のたびにネットワークの再設計や構築を余儀なくされるオフィス向けのSDNソリューション。「OminiSphere Engine」というコントローラーでスイッチをコントロールすることで、PCにつながれたポートの自動設定を行ない、MACアドレスとVLAN/VXLANの仮想ネットワークを関連づける。これにより、自動的にトンネルが構築されるため、L3網であってもどこでもつなげられるという。

 現在、OmniSphereは評価用のリリースだが、正式版がまもなく登場。MACアドレスによるユーザー認証やVLAN/VXLAN変換、ユーザーにログインを強いるCaptive Portalサーバーなどを提供するという。将来的には、ユーザーやデバイス、ネットワーク管理APIはもちろん、RADIUS認証やActive Dicrtory認証など特に企業で高いニーズに応える。

 パートナーに関しては、6月6日付けで日立電線とSDN-WANの分野で共同技術を検討することを発表。同日にはアライドテレシスとの提携も発表しており、スイッチや無線LAN APにOmniSphereのスタックを組み込む。これにより、有線・無線問わず、ネットワーク管理の効率化を推進する。

アライドテレシスとの提携でオフィス向けのSDNの導入も見込む

インターネットは本来ソフトウェアの世界

 こうしたSDNの現状や課題について、浅羽氏は「(SDNで)なんでもできると言われてきたので、メリットがかえってわかりずらくなっている。たとえば、フレキシブルに経路制御できるといっても、経路を自由に設定する人は実はほとんどいない。その点、われわれはSDNをソリューション化して、ユーザーにわかりやすく提案していかなければならない」と力説。SDNでは夢のような世界が描かれることが多いが、「ビジネスは地に足を付けてやりたいと思っている」という。

 また、親会社であるインターネットイニシアティブ 代表取締役会長 鈴木幸一氏は冒頭にコメントし、「長らくネットワークの世界は物理的な制約で、次の世界に進めない状況だった。われわれも(ハードウェアの)ルーターやロードバランサーを使っているが、今後はソフトウェアに進む。インターネットは本来、ソフトウェアの世界。SDNでもっと自由な世界を目指していく」と語った。

インターネットイニシアティブ 代表取締役会長 鈴木幸一氏

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