9月11日、ストラトスフィアは、SDNの最新動向と同社の取り組みに関する説明会を行なった。説明会ではデータセンターからキャリア、エンタープライズへと向かうSDNの方向性と技術動向、ストラトスフィアの製品計画が事細かに解説された。
データセンターからキャリア、エンタープライズに向かうSDN
記者発表会において登壇したストラトスフィア 取締役副社長の石黒 邦宏氏は、データセンターからキャリア、そしてエンタープライズに進むSDNの最新動向について説明した。

ストラトスフィア 取締役副社長 石黒 邦宏氏
ご存じの通り、SDNが生まれたのは、ITリソースの仮想化を追求していたデータセンターだ。石黒氏は、「VLANタグ数に限界があったり、L2ネットワークをインターネット越しで結ぶのが難しかったりといった課題があった。仮想マシンをネットワーク間で移動させたいというニーズもあった」と語る。そのため、既存のネットワーク上にL2スライスと呼ばれる仮想ネットワークを構築。また、VXLANやNVGRE、STTなどのプロトコルを用いて、エッジ同士のトンネリングを行なったり、仮想マシンのプロビジョニングを実現するOpenStackやCloudStackなどとの統合が進んだ。
こうしたSDNの動向はネットワーク市場にも大きな影響を与えており、グーグルやAWS、フェイスブックなどのWebジャイアンツはもはやSDN対応のスイッチを自前で設計・開発するようになっている。最近では、光伝送装置の経路制御に関しても、SDNで行なおうという流れも顕著になっているという。
また、石黒氏によると、2013年はキャリアやWAN分野でのSDN導入が本格化したと語る。キャリアのSDNに関しては、種類の異なるネットワークをSDNでコントロールするという意図がある。この背景には、当面の安定版となるOpenFlow 1.3ではMPLSとVLANの変換もサポートされたことがあり、今後WANでの適用がますます増えてくると見込まれている。SDNゲートウェイなどを介してVLAN/VXLAN/QinQやMPLSなどのタグ/ラベルなどを変換し、データセンター内のトラフィックをキャリアのアクセス/コアネットワークに透過的に流すことができるようになる。また、BGPをベースとしたIPネットワーク同士をSDNでつなぐグローバルでの実証実験も進んでいるという。

IPネットワーク同士をSDNでつなげる
存在感を増すSDN分野におけるOSS
興味深いのは、これらのSDNの実証実験やさまざまなソリューションにおいてはオープンソースソフトウェア(OSS)の存在感がきわめて大きくなっているという点だ。
まず、シスコやIBMがサポートすることで大きな注目を集めたSDNコントローラーの「OpenDaylight」は、WebやCLIのインターフェイスやREST APIが整備され、課題だったOpenFlowの1.3サポートも、先日IBMから新パッチが提供されたことで、道筋が見えてきた。安定度も高まっており、「このまま順調にいけば、デファクトになる公算が高い」(石黒氏)という状態だとという。

使い勝手やAPIの整備が続くOpenDayLight
一方、シスコと入れ替わりにOpenDaylightプロジェクトから抜けたビッグスイッチを中心とする「Indigo」プロジェクトは、SDNスイッチのOSS実装を進めている。こちらはブロードコムのようなスイッチハードウェアとの統合を前面に打ち出しており、OpenFlowのコンフィグもサポートする予定となっている。
さらにQuantum APIとして親しまれているOpenStackの仮想ネットワーク管理機構も、クラウドオーケストレーションにおけるいわゆるNorthbound APIのデファクトになっていく見込み。ただ、商標の問題から「Quantum」が「Neutron」という名前に変更されているとのこと。石黒氏は、「OpenFlowやSDNの世界で重要なコントローラーやスイッチ、クラウドオーケストレーションAPIもオープンソースが担う可能性が高い」と語る。
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