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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第148回

現地でSIMを買って海外旅行時のネット代金を抑えるワザ

2013年09月11日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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空港でトラベラーズSIMを購入

バンコク・スワンナプーム国際空港の出口から出ると、携帯キャリアのカウンターがある

 SIMを購入すると言っても、本格的な契約が必要なわけではない。プリペイドSIMなら、個人情報を記入する必要もなく手軽に購入できる。まずは、販売しているところを探す必要があるが、ほとんどの国際空港にあるので問題なし。バンコクではゲートを出てすぐ、3つの携帯キャリアのブースがあった。マカオに行ったときは、フェリーから降りてすぐの所にプリペイドSIMの自動販売機がある。ネットで調べれば、たいていの空港の情報はブログなどで見つかるので探してみよう。

 とりあえず、タイで最大のシェアを持つAISでSIMを購入することにした。念のため、SIMを選ぶ際は、そのキャリアが利用している周波数と対応エリアを確認すること。例えば、AISは900/2100MHz帯を利用しているが、DTACやTrueなどのキャリアは850MHz帯を利用している。今回用意したXperia GXとAWR-100TKは、どちらも、850/2100MHzをサポートしているので問題なし。対応エリアは、担当者に訪れる場所を伝えて使えるかどうか確認したい。特にタイはバンコクで使えても、郊外に出た途端に圏外になるキャリアもある。

 店頭で購入する場合は、端末を渡して接続してもらう。日本語メニューに手間取っていたが、APN情報を設定し、すぐに接続できた。スムーズに設定してもらいたいなら、端末の表示設定を英語にしておくといいだろう。また、SIMを交換するので電源も落としておくといい。トラベラーズSIMの価格は299バーツ(約930円)と激安。この中に、1週間使えるデータ通信と100バーツ分の通話料が含まれている。「unlimited data」とあるが、3G通信が利用できるのは1GBまで。それ以上は64kbpsに制限されてしまうので、使いすぎには注意したい。とはいえ、1日130円というコストパフォーマンスは見逃せない。さらに長期滞在する場合は、30日間利用できるSIMも選べる。3G通信が1GBまでなら550バーツ、4GBまでなら1050バーツという感じだ。

数日間の滞在なら、トラベラーズSIMがお手軽

端末を渡せばスタッフが接続設定をしてくれる

元のSIMはスタッフがテープで留めてくれた。確かに、こうしておけばなくさずに済む

隣にはDTACのカウンターもあった

接続の設定をしてくれなかったら自分で作業する

 町中のショップなどでプリペイドSIMを購入すると、端末の設定をしてくれないことがある。そんな時は自分で設定する。まずは、電源を落として、SIMを交換。起動後、設定画面から「モバイルネットワーク設定」→「モバイルデータ通信」にチェックし、「アクセスポイント名」を開く。メニューボタンから新しいAPNを作成し、キャリアごとに指定された情報を入力すればいい。例えば、AISならAPN名に「internet」、dtacなら「www.dtac.co.th」と入力する。Tureの場合は、APN名だけでなく、ユーザー名やパスワードも必要になる。

 ちなみに、バンコクには秋葉原のような雰囲気を持つ電気街が数ヵ所あり、プリペイドSIMを扱うショップもあった。しかし、空港のカウンターで買うよりも3~4割高かった。できれば、空港などにある正規店で購入しておきたい。

SIMを交換する

「設定」→「その他の設定」→「モバイルネットワーク」→「アクセスポイント名」を開く

メニューから「新しいAPN」をタップ

「名前」をタップ

キャリア名など適当な文字列を入力する

決められたAPN名を入力する

メニューから「保存」をタップして完了

 モバイルルーターの場合も基本的に同様。「AWR-100TK」にSIMを挿入し、起動したらスマホやPCをWi-Fiで接続する。その後、ブラウザーで「192.168.1.1」を開き、設定画面にアクセス。APNのプロファイルを作成すればいい。しかし、今回新品の「AWR-100TK」にAISのSIMを装着したところ、すぐに通信がつながってしまった。端末がAISをサポートしていたと思われる。

モバイルルーターにSIMを装着。AWR-100TKはAISをサポートしていたのかすんなり通信できてしまった

3G接続でも通信速度は8Mbps前後と快適

 接続速度は国やキャリア、利用場所により大きく異なる。基本的に、日本のLTEのような速度は期待しない方がいい。とはいえ、バンコク内をあちこち移動したが、快適に利用できた。アプリで通信速度を計測したところ、下りが7~11Mbps、上りが1~2Mbpsという感じ。電波が入りにくいところでは、下り3Mbps、上り100kbpsくらいになるが、それでもメールや地図などは利用できた。

 高速通信できるデータ量が限られている。SIMにより、500MBや1GBなどだが、越えてしまうと64kbpsに制限されてしまう。これでは、ウェブの閲覧もままならない。「設定」→「データ使用」を開き、オレンジのラインをドラッグして警告ラインを設定しておこう。1GBまでのプランなら800~900MBに設定しておけばいいだろう。動画さえ見なければ、いくらウェブページやマップを表示したり、メールをやりとりしても大丈夫だ。しかし、Dropboxなどの自動写真アップロード機能やiCloudのバックアップ機能などが有効になっていると、状況によっては一気に1GBの制限に達してしまうことがある。これらの機能はあらかじめ無効にしておくこと。

通信速度計測アプリ「speedtest.net」でチェックしてみた

モバイルデータ通信量を監視し、一定量で警告が出るようにしておこう

バックグラウンドで大量のデータをやりとりする機能は無効にしておく。画面は「Dropbox」

 SIMロックフリーのスマートフォンを利用しているなら、海外ではぜひプリペイドSIMの購入にチャレンジして欲しい。万が一、どうしても購入できないときは、日本のキャリアの海外定額プランを利用する手もある。SIMロックフリーのモバイルルーターは1万円近くするので、単発の旅行では元が取れないかもしれない。しかし、10日間以上の渡航や何度も旅行する場合なら、確実にお得。海外旅行時のネットは現地価格で使い倒そう。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


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