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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第219回

IDF直前に判明したAvotonこと「Atom C2000」の性能

2013年09月09日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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Avoton/Rangeleyの
ラインナップと価格

 さて、次に製品のラインナップである。Avoton/Rangeleyは、大きく3つのカテゴリーに分類される。一番下が低価格/低消費電力の小規模なウェブサーバー向けであり、その上にもう少し高性能なウェブサーバーや、Cold Storageと呼ばれる「低速で構わない代わりに大容量のストレージの管理」を行なう用途向けがラインナップされる。

Avoton/Rangeleyのターゲット層。前世代のCentertonは、事実上一番下のEntry Web Hostingのみがターゲットという感じであった

 そしてトップに這いいるのがFront End Web向けで、例えばGoogleやFacebookといった、極めて大規模なウェブサーバーのフロントエンドの負荷を担うことを考慮した製品である。具体的なラインナップが下の画像である。

Avoton/Rangeleyのラインナップ。縦軸は性能であるが、上の画像を重ね合わせるとそれぞれのターゲットがわかりやすい

 ラインナップにCentertonやHaswell-E3が混ざっているのは、消費電力や性能的に多少オーバーラップする部分があるからであるが、いきなり全部をAvoton/Rangeleyが置き換えるわけではなく、当面は併売する形でゆっくり置き換えるということだろう。ちなみにラインナップには価格が含まれていないが、9月5日の発表時の情報によれば下表の通りだ。

Avotonの価格(いずれも1000個発注時)
Atom C2750 171ドル
Atom C2730 150ドル
Atom C2550 86ドル
Atom C2530 70ドル
Atom C2350 43ドル

 Rangeleyの価格は現時点では不明だが、おそらくQATを搭載している分、同じ動作周波数であれば若干の上乗せがある程度と思われる。

「Atom C2750」の性能は
「Atom S1260」の1.9倍

 最後は性能について説明しよう。明確な形での性能指標はまだ出ていないが、いくつか示唆的なものがあるのでこれを紹介したい。まずは純粋にプロセッサーの性能ということでSPEC CPU2006の結果がこちら。

CPUの構成は全然違うが、これはあくまでも1スレッドで実行した場合の性能比だこちらは全コアを使ったマルチスレッドでの性能比

 SPECintの場合、公式なベンチマーク結果はしっかり公開されるのだが、今回の結果はすべてインテル内部で測定した非公式なもので、結果の数字が公表されていない。

 とりあえず「Atom S1260」と比較して1スレッドで最大1.9倍。実際は動作周波数が異なるが、これを勘案して同一動作周波数比でも1.6倍弱のスピードアップが図られている計算になる。

 またマルチスレッドだと、2コア/4スレッドの「S1280」と8コアの「C2750」では比較になるわけもなく、5.1倍の性能となる。もちろんこのケースでは消費電力が全然違うという議論はあるが、8.5Wに正規化したとしても2.2倍弱に性能が改善するという計算が成立するため、絶対性能と性能/消費電力比の両面で、従来のAtomコアと比較して随分性能が改善したことになる。

 他にベンチマーク結果としては、メモリーアクセスで最大4.1倍(画像左)、ウェブサーバーのパフォーマンスで7.2倍(画像中央)、Javaの演算性能で最大14.4倍(画像右)といった結果が出ている。

科学技術計算分野で広く利用されているSTREAMというベンチマークを利用してメモリー帯域を比較したもの。「S1280」はDDR3-1333が1ch、「C2750」はDDR3-1600が2chであるこれはLAMP(Linux+Apache+MySQL+PHP)という環境でPHPの処理速度を比較したものSPECjbb2005とSPECjbb2013というベンチマークの結果を比較したもの

 もう少し実際のアプリケーションではどうかということで、Memcachedというキャッシュサーバー(ウェブあるいはデータベースの結果をメモリー中に格納してキャッシュとして動作するアプリケーション)を実行させた結果が下の画像である。

左は、ランダムに要素を選んでリクエストを出して返ってくるまでの時間を、右は特定の値を何度もリクエストして返ってくるまでの時間を測定して比較したもの

 この結果がわりと重視されるのは、まさにAvotonの最初のターゲットの1つがこのMemcachedだからで、従来比で10倍近い性能改善というのはインテルがまさに望んでいた結果であり、これを武器にインテルは軽量なサーバー分野に進出をしようとしているわけだ。

 これをIDFの“前に”発表した理由が現時点では今ひとつハッキリしないが、この記事が掲載された翌日あたりからIDFも始まるわけで、ここでもう少し追加情報が出てくるかもしれない。

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