山市良の「企業ユーザーはここに注目しよう!Windows 8.1の新機能」 第1回
コピー&ペースト、オーディオ再生/録音、USBデバイスなどホスト-ゲスト間の連携
Windows 8.1で「クライアントHyper-V」はこう改善された
2013年09月06日 08時00分更新
「拡張セッションモード」はリモートデスクトップサービスの応用技術
拡張セッションモードが利用できる場合、仮想マシンに「仮想マシン接続」で接続すると、デスクトップのサイズを調整するスライダーを備えた「画面の設定」ダイアログボックスが表示される。このダイアログボックスで「オプションの表示」ボタンをクリックすると、「画面」タブと「ローカルリソース」タブが出現し、リモートデスクトップ接続に非常によく似た方法でオーディオやデバイスのリダイレクト設定を行うことができる。
実は、拡張セッションモードは仮想マシンが備える仮想的なビデオデバイスではなく、ゲストOSが備えるリモートデスクトップサービス(RDS)の機能を利用する。通常のリモートデスクトップ接続は、TCP/IPネットワーク上で3389/TCPポートを使ってリモートコンピュータのRDSに接続するが、拡張セッションモードではホストとゲストの内部的なチャンネルである仮想マシンバス(VMBus)を介してゲストのRDSに接続する。「仮想マシン接続」にはリモートデスクトップ接続のクライアント機能の一部が組み込まれており、RDSの機能を全面的に利用して全画面表示やマルチモニター、スマートカード、プリンター、クリップボード、ローカルドライブ、オーディオデバイスのリダイレクトが実現されるわけだ。
このように、拡張セッションモードはネットワーク接続を使用しないが、通常のリモートデスクトップ接続を許可する場合と同様の要件が求められる。すなわち、ゲスト側では「Remote Desktop Services」サービスが実行中であり、サインインするユーザーは「Remote Desktop Users」ローカルグループか「Administrators」ローカルグループのメンバーである必要がある。また、RDSのサーバー機能を持たないWindows 8.1(ProやEnterpriseではない無印エディション)がゲストの場合は、拡張セッションモードは利用できない。
先ほど「条件が整っていればUSBデバイスのリダイレクトも可能」と書いたが、これは「RemoteFX USBデバイスリダイレクトの要件を満たしている場合」という意味である。具体的には、ゲストOSがRemoteFX USBデバイスリダイレクトに対応したWindows 8.1 Enterprise、またはWindows Server 2012 R2のリモートデスクトップセッションホストである必要がある。
さらに、接続元でも「リモートデスクトップ接続」(mstsc.exe)でRemoteFX USBデバイスリダイレクトの使用を許可するのと同じ、ポリシー設定が必要になる。具体的には、「コンピューターの構成\管理テンプレート\Windows コンポーネント\リモート デスクトップサービス\リモート デスクトップ接続クライアント\RemoteFX USB デバイス リダイレクト\サポートされている他の RemoteFX USBデバイス」の、「このコンピューターからの RDP リダイレクトを許可する」ポリシーだ。
さて次回は、Windows 8.1(と同時にリリースされるWindows Server 2012 R2)のBYOD対応機能について詳細に見ていきたい。
筆者紹介:山市良(山内和朗)
Windows Server系の書籍、記事、技術文書を得意とするITテクニカルライター。2008年からMicrosoft MVP for Virtual Machineを受賞(Oct 2008 - Sep 2013)。主な著書に「Windows Server 2012テクノロジ入門」(日経BP社、2012年)、「Windows Server仮想化テクノロジ入門」(日経BP社、2011年)、「Windows Server 2008 R2テクノロジ入門」(日経BP社、2009年)。ブログ http://yamanxworld.blogspot.jp/
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