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最小構成では1時間103円から利用可能!

AWSとも連携!KVHと米ザダーラ、クラウドストレージを提供

2013年08月30日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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8月29日、KVHと米ザダーラ・ストレージ(Zadara Storage)は、ザダーラ・ストレージが米国で展開中の企業向けクラウドストレージ「Virtual Private Storage Arrays」を日本国内で共同で提供開始することを発表した。当面の対象ユーザーはAWSユーザーおよびKVHのデータセンター利用者となる。

ブロックストレージとしても利用可

 ザダーラ・ストレージのVirtual Private Storage Arrays(VPSA)は、Amazon S3のようなオブジェクトストレージではなく、ファイルアクセス(NFS)とブロックアクセス(iSCSI)に対応した企業向けのオンラインストレージサービスだ。このため、データベースや各種サーバーアプリケーションなど、既存のアプリケーションから直接データにアクセスできる点が特徴となる。

米ザダーラ・ストレージ ビジネス・ディベロップメント バイス・プレジデント ノアム・シェンダー氏(Noam Shendar)

 サービスの概要説明を行なったザダーラ・ストレージのビジネス・ディベロップメント バイス・プレジデントのノアム・シェンダー氏は、SANやNASといったエンタープライズストレージには「一貫したパフォーマンス」「低遅延」などのメリットがある一方、柔軟性やコストの面ではクラウドストレージが上だとした上で、同社のサービスは「従来型のストレージの持つ利点は残しつつ、クラウドストレージの欠点を解消したもの」だと説明した。同社のサービスは、オブジェクトストレージであるAmazon S3とは補完的な関係となるため、米国ではザダーラストレージとAWSとのパートナーシップが確立されており、AWS、エクイニクス、ディメンションデータの3社がプロバイダーとして同社のサービスを提供している。

VPSAの位置づけ

 一方日本市場へは今回が初参入となり、KVHがプロバイダーとして同社のサービスを提供する形になる。一方、AWSとの密接な関係は日本国内でも維持される。今回まずVPSAが実装されるのはKVHの東京データセンター1(TDC1、塩浜)となるが、AWSの東京リージョン(AP-Northeast-1a/b/c)との間にはKVHの10Gbps専用線が敷設されており、AWS東京リージョンのVPC/EC2ユーザーからはVPSAがあたかも直結されたストレージのように利用できる環境が構築される。当然、KVHのTDC1にサーバーを置くユーザーも同様の環境でVPSAを利用できるので、クラウド環境に限定されず、エンタープライズユーザーのオンプレミス環境でVPSAを利用することもできる。

ザダーラ・ストレージのシステム構成

 VPSAのメリットについてシェンダー氏は端的に「マルチテナントのコストで専用システムの使い勝手を実現できる」としている。サービスの利用は、専用のWebインターフェイスで構成を選ぶことで即座に利用開始でき、コントローラのパフォーマンスやストレージデバイスの種類(HDDやSSD)/容量を用途に応じて柔軟に構成できる。選んだ構成に応じて1時間当たりの利用料金が算出され、利用期間は最短で1時間から可能だ。大量のデータ処理が必要になった場合に、処理を終えるまでの間だけ利用する、といった運用ができる。最小構成では1時間当たり103円からとなる。

KVHとザダーラ・ストレージの役割

 KVHのプロダクト・マネージメント部 執行役員の柏木 街史氏は、今回の発表を「KVHのデータセンターエコシステム戦略の第一段階の取り組み」と位置づける。今後は、同社のTDC1以外のデータセンターやパートナーのデータセンターへのVPSAの展開も予定しており、最終的には国内で50以上のデータセンターに拡大するとしている。なお、VPSAの提供開始は9月17日の予定。

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