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「急速に進化したシステム環境と、旧態依然とした運用管理のギャップを埋めたい」

Oracle DB 12cに対応!「Enterprise Manager」最新版

2013年08月27日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは8月26日、統合運用管理ソフトウェアの最新版「Oracle Enterprise Manager 12c Release 3(R3)」を発表した。新アーキテクチャを採用した「Oracle Database 12c(Oracle DB 12c)」に対応したほか、同社エンジニアド・システムの管理機能、およびクラウド環境におけるシステム・ライフサイクルの管理機能をそれぞれ強化した。

 Oracle Enterprise Managerは、Oracle DBや「Exadata Database Machine」「Fusion Middleware」「Exalogic Elastic Cloud」「Exalytics In-Memory Machine」など、オラクルの幅広い製品群に対応し、一元的な運用管理機能を提供する統合管理スイート製品。Enterprise Manager 12cの初版は2011年11月に発表されている(関連記事)

 最新バージョンの12c R3では、まずOracle DB 12c(関連記事)で採用されたマルチテナント・アーキテクチャに対応。GUIから、同DBを構成する「コンテナ・データベース」や「プラガブル・データベース」の統合、移動、バックアップ、クローニング、パッチ適用、アップグレード、リソース管理といった管理操作を実行できる。

Oracle DB 12cのマルチテナント・アーキテクチャに対応

 またエンジニアド・システムに関しては、「Exadata」のマルチラック構成、外部ストレージラック「Storage Expansion」の管理のほか、「Exalogic」「Exalytics」のハードウェア管理、「SuperCluster」にも対応している。

エンジニアド・システムの管理機能も強化された

 クラウド環境の運用管理領域では、システム・ライフサイクルにおける各工程で発生する作業の自動化や効率化を実現する機能を強化した。たとえば、アプリケーションのデータベース基盤移行に際して、事前に負荷/パフォーマンステストを実行できる「Real Application Testing(RAT)」では、新たに複数のワークロードを統合したテストが実行できるようになっている。

クラウド環境の運用管理では、自動化や効率化を実現する各種機能が強化された(図中「NEW」の付いた製品が機能強化対象)

機能強化の一例。「Real Application Testing(RAT)」では、複数ワークロードをキャプチャして同時にリプレイ(再生)することで、統合した場合の負荷状況をシミュレートすることが可能になった

旧態依然とした運用管理との「ギャップを埋める」

 発表会で同社専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、Enterprise Managerの提供を通じて、オラクルでは急速に進化するシステムアーキテクチャと、旧態依然としたシステム運用管理業務との「ギャップ」を埋めていきたいとの方針を強調した。

 「Oracle DB 8が発表された16、17年前と比較して、システムアーキテクチャはサイロ型からクラウド型へと大きく変化し、取り扱うデータベース数やトランザクション数も膨大なものになっている。しかし、運用管理は十数年前と同じ旧態依然とした手法、ツールで行われている。これはアプリケーションサーバについても同じだ」(三澤氏)

この十数年間でシステムアーキテクチャが大きく進化しているにもかかわらず、運用管理は旧態依然のままで「ギャップ」が生じていると三澤氏は説明する

ハードウェアインフラを主眼とした従来型の統合運用ツールだけでは、最新のシステムアーキテクチャの規模や、そこで求められる最適化、自動化といった要件に対応できないと三澤氏は指摘した

 三澤氏は、オラクルではこのギャップを埋めるべく従来から変革を訴えてきたものの、特に日本企業のIT部門は運用管理に対して保守的な姿勢であり、「まだ声が届いていない」と述べた。「今回のEnterprise Manager新バージョンのリリースを契機として、あらためてこうした顧客と向き合い、運用管理コスト低減のお手伝いをしていきたい」(三澤氏)。

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