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ついにiPhone版も登場:

ガルパンの聖地を巡る“舞台めぐり”、裏側の知られざる本気度

2013年08月23日 17時00分更新

文● 編集部

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サービスを開始してわかった、聖地巡礼の意外な側面

 以上はユーザー側から見たアプリの機能の解説だが、実はこのアプリ、単にアニメ作品をPRしたり、ユーザーに聖地の情報を提供するだけのものではない。

 あまり積極的にアピールされてはいないが、その開発にはソニー社内の技術者が有志として参加している。いわば“スマホアプリ開発”のプロたちが、ほぼ自主的に集まって出来上がったプロジェクトなのだ。大洗にも実際に赴き、現地で合宿などをしながら、地域貢献も視野に入れたサービスの改善を続けている。

 アプリの利用状況は統計的に解析されているが、実際にアプリをリリースしたことで、分かったこともある。たとえば、人気のある撮影スポットや実際に巡礼を行う際のルート。そしてどの時期に人が多く訪れ、どんなふうに舞台めぐりを楽しんだかといった情報だ。

 ちなみに一番の人気スポットは、作品内でも実名で登場した旅館「肴屋本店」。第4話・イギリス風(?)の聖グロリアーナ学園と大洗女子学園の親善試合で、カーブに曲がりきれずマチルダIIが突っ込んでしまったシーンに登場するあの場所。なるほどと実感させられる。

アニメにも登場したクックファンの常盤さんと、肴屋本店の大里さんにもお会いしてきました

 興味深い内容としては、聖地巡礼にやってくる人は意外に朝型が多いこと。朝の8時ごろには巡礼をスタートし、14時ごろには巡礼を終えて帰宅する……といった巡礼のパターンが見えてくるのだという。またリピーター率が高いためか、リリース直後にユーザーが多くたどる経路と数ヶ月経った後にユーザーがたどるルートには違いが出てくる。当初は大通りやわかりやすい道を中心に移動していたユーザーが、気づくと地元民でも通らないような道を経由しながら舞台めぐりをする人が増えていくのだという。

 この情報は大洗で定期的に実施されているガールズ&パンツァー関連のイベントの成果を知るためにも活用できそうだ(関連サイト)。6月から実施された日本戦車連盟模擬試験、街なか戦車せいぞろい!、ガルパン街なかかくれんぼといった、街の中をめぐってチャレンジしていくような企画が実施されている。

 イベントが始まればユーザーの導線も変化する。街なかに設置したスポットが効果的に利用されたか、あるいはスポットとスポットの移動途中でよく経由されている場所に新しいスポットを置いたら、もっと面白いことができるのではないかといった提案もできるという。舞台めぐりの開発陣は、こうした情報も地域にフィードバックしながら、大洗の活性化に貢献したいと考えているようだ。

準備が楽しく、現地で楽しめ、そして帰ってきても楽しめる

 また、当初の計画にありまだ実現できていない機能も多数ある。たとえば現地に赴く前に旅の計画と準備を立てるための機能。特に聖地巡礼に興味を持っているが実際にやったことがないという層に役立つ機能の強化だ。準備をし、作品を疑似体験しながら旅の記録を残し、場に参加する。そして後日、その体験を振り返る。PCやデジカメはそのためのツールだが、これだけではカバーできないものもある。ソーシャルや位置情報を使ったサービスと相性のいいスマホの活用は、その隙間を埋める可能性がある。

大洗に行ったら、必ず食べたいあんこう焼き

 今回取材をかねて、記者も大洗に赴き、舞台めぐりを入れたスマホを手に、聖地巡礼を初体験してみたが、実際に参加してみることで気づかされることも多かった。たとえば作品に出てくるスポットの情報を集め、現地でそれを見つけることは想像よりずっと大変であること(今回はアプリがあったので当てはまらないが)、スポットとスポットの移動には思った以上の根気と体力が必要であること、そして作品と同じアングルで写真を撮るというのが思った以上に難しいこと、などなど。

作品を見た方なら、きっと関心を持つと思われる例のカツ戦車

ご当地限定のグッズとかもたくさんありました

 舞台めぐりは、開発者が実際に聖地巡礼した際に感じたことを率直に機能として取り入れ、自分が使いたくなるもの、あったら便利だと感じるものを作ったのだというが、確かにそれには納得できる面がある。作品の舞台を訪れて、実際の風景を見て、ついでにご当地でしか手に入らないグッズとか買ってしまうという聖地巡礼の楽しさも実感できた。

 また時間ができたら、アプリのレビューという言い訳で、大洗に足を運んでみたい。そんなふうにも感じた取材だった。

(C) GIRLS und PANZER Projekt

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