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最新ハイエンドオーディオ、本当のところ 第4回

USB DACを導入するだけで、聞きなれた音が生まれ変わる!

伝統と革新の両立、DA-06とDA-100が受け継ぐラックストーン (5/5)

2013年09月02日 12時00分更新

文● 編集部

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フォーマット別に比較視聴できるものも

 やくしまるえつこの「ロンリープラネット」は、2.8MHz版に加え、5.6MHzのDSDも用意されており、今回は5.6MHz版のほうを聴いた。まだ決して多くはないが、DA-06であればこうしたソースにも問題なく対応でき、聴きたい曲があったにもかかわらず、機器の仕様上聴けないという問題が生じないという点に意義があるだろう。

 もちろん実際はCD品質、あるいはAV機器に多い48kHzの音源が美しく聴けるというのがやはり重要ではあるが、そのあたりに関しても当然のようにまったく不満はない。

 試聴したソースの中では、坂本龍一+やくしまるえつこ / adaptation 05.1 - eyrsに出てくる独白調の声。その生々しさ、自然さにとにかく驚かされる。Otoyaで販売されているパッケージにはCDクオリティーの状態で圧縮したMP3版も同梱されているのだが、DSD版の表現はリアルでナチュラルという言葉に尽きる。機器全体の再生能力の高さもあるのだろうが、目の前に本当に人が立っているような生々しさは別次元という印象だった。

 SuaraはF. I. X. Recordsから高音質なアニメ・ゲームのタイアップ曲を多数リリースしているアーチスト。試聴したDSD live sessionは、公開レコーディング+ミックスダウンをリリースした特別版というべき音源。DSDに加えて、WAV(24bit/48kHz)の音源も用意されており、比較ができる。

 ハイレゾあるいはDSDのような高音質音源とCDとの比較でよく口にされる表現だが、改めてこういったソースで聴くと、情報量が豊富になればより落ち着いた音調で、強調感や加工感が減り、自然で空間になじむ質感が音に加わってくる。今回の試聴では同一ソースをベースにMP3からDSD、あるいはWAVからハイレゾ、そしてDSDへとソースそのものの情報量の差が少しずつ増加していく傾向を肌で感じられるが、実際には驚きというよりは確かさというか音の真実味が増し、聴き比べる中でそれが明白な差として感じられるようになるという印象が強かった。

聴きなれたソースも、USB DACの導入で生まれ変わる

 それとは逆に感じたのは、CDクオリティーあるいはロッシーなMP3でも頭で感じている以上に豊富な情報量が収録されており、気を配らずに再生しただけでは、システムがその情報量の多くを引き出しきれないのだという事実だ。いうならば、より強く感じたのは今回試聴したシステムのポテンシャルである。

 たとえば、坂本真綾のシングル「Buddy」「おかえりなさい」の初回盤に特典として付属していた「LIVE TOUR 2011 You can’t catch me SPECIAL LIVE CD」など、ライブ盤を聴くと会場の熱気や歓声といったものの臨場感といった、そしてライブならではの雰囲気が説得力を持って迫ってくる。USB DACというとハイレゾ音源のほうに関心がいきがちで、聴きたい音源がまだリリースされていないといった不満を聞くことも多いが、良質なDACはたとえそれがCDでも聴きなれた音源から別次元の情報を引き出す。

 最新スペックの搭載だけでなく、アナログ時代から何十年もかけて培ってきたHi-Fiメーカーとしてのラックスマンの力、録音が持つ魅力を改めて感じる結果になった。

 それは、少しチープな打ち込みの伴奏がつく、アニソンやボーカル曲でも同様で、ミックスしたバックの粗が多少目立つ一方で、おそらく別録りしたボーカルの部分の情報量や生々しさは驚嘆する結果になった。こういうところも面白いと感じる。

 これはCDをリッピングしたソースでの比較になるが、末弟というべき存在のDA-100にも当てはまる。コンパクトで価格的にも何分の1になる製品だが、その完成度は高く、DA-100もまたラックスマンの血統を受け継ぐ製品なのだと実感できる。DSDをはじめとした対応ソースの豊富さと、ハイエンド機器ならではの実力でDA-06が優位なのは言うまでもないが、これをスタートにしても、ここをゴールにしても問題ないと納得できるような実力を持っている点も実感できた。ミニマムというDA-06にはない魅力も持つので、優劣ではなく用途や特徴で選択すべき製品だろう。

 メニューから機器を選び、聴きたいファイルをドラッグ&ドロップですぐに再生できるLUXMANの専用プレーヤーは、難しいことを考えず、最良の音を聴くという体験に集中できる。プレーヤーとしての音質も、上に述べたようなDA-06/100の透明で爽快感があるボーカルを初めとした機器の魅力を高め、調和する方向で高めてくれて非常に好印象だった。

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