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マイクロソフト・トゥディ 第58回

休日返上の企業も—XPサポート終了まで8ヵ月、「法人PC特需」が始まった!

2013年08月15日 11時00分更新

文● 大河原克行

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増産拡大の可能性を示唆する富士通

 Windows XPのリプレース需要が顕在化してきたことで、ビジネス向けPC市場が活況を呈してきたのは明らかだ。

 富士通ノートPCの生産を行なっている島根県出雲市の島根富士通では、「Windows XPのサポート終了に合わせた買い換え需要が顕在化。6月中旬以降は、前年比2〜3割増で推移している」(島根富士通・宇佐美隆一社長)と語る。

 島根富士通では前年度には約190万台の生産台数に留まっていたが、2013年度の生産台数は、220万台前後に達する見込みだ。

 宇佐美社長は、「この勢いは年度末までは続くだろう。場合によっては、増産幅を拡大する可能性もある。年末以降は部材を安定して調達できるかどうかといった問題が発生することも視野に入れている」と、今後のWindows XP需要の拡大に期待を寄せる。

 同じく富士通のデスクトップPCを生産している富士通アイソテックでも、計画を上回る形で生産している。富士通アイソテックの岩渕敦社長は、「土曜日も休日返上で生産している」と前置きし、「当初計画では前年割れを想定していたが、この状況で推移すれば前年並みの生産台数に達するのではないか。計画に対して2割増になる」と予測する。

 メーカー側も増産体制へとシフトし始めているというわけだ。

今後の主戦場は中堅・中小企業、
年末以降には個人向けPCにも広がるか

 大手企業が先行しているWindows XPからの移行への取り組みは、今後は中堅・中小企業へと広がり、さらには年末以降、個人向けPCにもつながると予想されている。

 日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「4月時点では約4割の企業がWindows XPを使用していたが、6月末にはこれが6ポイント減少した」と前置きし、「まだ告知が行き渡っていない中小企業に対しての訴求を行なっていく必要がある。そして、その先には個人ユーザーに対しても告知を徹底していくことを考えたい」と、段階的に訴求活動を展開していく姿勢をみせる。

 次のステップとして、中小企業による移行需要、
そして個人向け需要が発生するとみているのだ。

 ちなみに、2013年4月時点での企業におけるWindows XPの利用台数は1419万台、全体の40.3%を占めており、個人向けでは1170万台、全体の27.7%を占めていた。これらがリプレースの対象となるわけだ。

2013年4月時点で、企業におけるWindows XPの利用台数は1419万台、全体の40.3%を占めており、個人向けでは1170万台、全体の27.7%を占めていた

それでも6割の企業が、サポート終了以降もXP搭載PCを利用?

 だが、その一方で、慎重な見方があるのも事実だ。

 MM総研の予測によると、2013年度(2013年4月〜2014年3月)の国内PC市場は、前年比0.9%増の1520万台と、微増に留まるとみている。

 同社では、「法人市場では、Windows XP からWindows 7を中心とする上位世代OSへの更新が続くが、それに伴うシステム全体の改修費、移行費用などの負担軽減を図る提案の充実が必要」と指摘。さらに、個人向け市場においては、PC購入を見合わせて、タブレットに需要が流れるといったことも想定されるとの見解も示している。

 さらに、クロス・マーケティングの調査では、2014年4月までに社内のすべてのPCの移行が完了すると回答した企業は39.2%に留まっており、逆算すれば6割の企業が、サポート終了以降もWindows XP搭載PCがなんらかの形で残るとしているのだ。

 Windows XPからの移行がこれから本番を迎える中で、「特需」といえる動きは、どこまで顕在化するのか。

 OSのサポート終了に伴い、これだけ大量のPCがリプレースされるということは、PC業界の過去の歴史に例がない。これまでに経験がない出来事を前に、業界内でも見通しが立たないのが本音のようだ。


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