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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第145回

802.11acで高速・快適な家庭内無線LAN環境を構築するワザ

2013年08月14日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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スマホでも速度を計測
802.11acに対応していなくても効果アップ!

 Androidスマホ(Xperia GX)でも計測してみた。802.11acには非対応。しかし、従来は2.4GHz帯の802.11nを利用していたが、「WZR-1750DHP」は当然、5GHzの802.11nも利用できる。ルーターの性能も向上しているので、試してみることに。

速度計測アプリには、「Speedtest.net」を利用した

Androidスマホでの速度比較

 Androidスマホでも、大幅なスピードアップが確認できた。ルーターと至近距離で計測したところ、実測で100Mbpsを超えることもあった。離れた場所でも、しっかり電波をつかんでおり、ダウンロードが速くなっていた。ただ、アップロード速度はほとんど変わらなかった。

 同じ802.11nで接続しているのに、ここまでスピードアップしたのはルーターの性能に加え、利用する周波数帯を変更したことも大きな理由。広く使われている2.4GHz帯はその分、周囲にも利用者がいる可能性が高く、電波が干渉してしまうのだ。その点、5GHz帯は利用できるチャンネルの数が多い上に利用者も減るので、速度低下が起きにくいのだ。もし、無線LANルーターが、5GHzも利用できる機種なら、設定から変更することをオススメする。

 また、「WZR-1750DHP」はビームフォーミングにも対応している。802.11acのオプション機能で、子機の位置を判別して電波の送信具合を調整し、スピードアップを行なってくれるのが特徴。ほかに、Appleの「AirMac Extreme」なども対応している。ビームフォーミングの効果を得るには、子機の対応も必要。現在のところ、新しいMacBook Airや「GALAXY S4 SC-04E」、「AQUOS PHONE ZETA SH-06E」といったスマートフォンが対応している。

 ビームフォーミングは設定でオン/オフできないので、メーカーからファームウェアレベルでビームフォーミングを無効にした機種を借りて比べてみた。結果は「GALAXY S4×802.11acルーターで超高速無線LANが可能!?」で詳しく紹介しているが、結論から言うとビームフォーミングの効果は明らかだった。至近距離だとそれほどわからないが、離れた場所で、大幅なスピードアップが確認できた。

別の日に「GALAXY S4」を使い、802.11acルーターとビームフォーミングの実力をチェックしてみた

電波状態の悪いところに無線LANを中継する

 802.11acルーターにより速度向上は実現できたが、改善されなかった場所もあった。1階の風呂場やトイレは元より電波状態が悪かったのだが、802.11acで接続したところ、まったく受信できなくなってしまった。これは、2.4GHzと5GHz帯の周波数の特性が原因。LTEは入るが、iPad Wi-Fiなどが使えなくなってしまうのは困る。そこで、無線LANを中継するアイテムを導入してみた。1階の電波状態がさらに改善されれば、リビングの通信速度も向上するかもしれない。

 「WZR-1750DHP」は無線LAN中継器としても動作させることができる。親機をもう1台買って設定すればいいのだが、約2万円の出費は厳しい。そこで、「LAN-RPT01BK」(ロジテック)を利用して、無線を中継させてみた。

ロジテックのWi-Fi中継機「LAN-RPT01BK」。直販価格は4980円

 セットアップはとても簡単だ。親機の近くで「LAN-RPT01BK」をコンセントに挿したら、親機のWPSボタンをプッシュ。続いて、「LAN-RPT01BK」の「WPS/リセット」ボタンを押すだけでいい。「WPS/ステータスランプ」が青く点灯したら設定完了。コンセントから抜いて、中継したいところのコンセントに挿しこむ。後は、普通にPCやスマホで接続するだけ。SSIDや暗号化キーは同じなので、自動的に接続される。

コンセントに直づけすると起動し、自動的に親機に接続される

LANケーブルでつなぎ、PC上で手動設定することもできる

中継器の有無の速度比較

 2階から廊下を通り階段を下りたところに中継機を設置。折り返して廊下を過ぎたところのリビングで計測してみた。ところが、中継機ありなしで、あまり速度が変わらなかった。PCにいたってはダウンロード速度が落ちている。

 ただし、効果がなかったわけではない。なんと、802.11acにしてつながらなくなった風呂場やトイレでネットが利用できるようになったのだ。上り下りとも約3Mbpsというスピードだが、ネットやゲームは十分。動画投稿サイトもなんとか閲覧できる。筆者的には満足したが、電波状態が悪くても中継機を入れれば万事解決とはいかないかもしれない。

バスルームでも無線LANがつながるようになり、心置きなく802.11acに乗り換えられる

 せっかく自宅に100Mbpsもの光回線を引いているなら、無線LAN環境を整えて、ネット回線を使い倒したい。現状つながっているから、と低速回線で我慢するのはもったいない。802.11acルーターや中継機を活用し、快適な無線LAN環境を構築しよう。


筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「ポケット百科 GALAXY SII LTE 知りたいことがズバッとわかる本」(翔泳社)「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)。


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