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ITCがSamsungの一部製品に輸入差止、米政府は拒否権を行使する?

2013年08月12日 21時00分更新

文● 末岡洋子

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 米国際貿易委員会(ITC)は8月9日、Samsungが自社特許を侵害しているとするAppleの主張を一部認め、該当製品の米国における輸入と販売を禁じる最終判決を下した。この決定は、60日以内に米大統領による正式な許可を受けた後に発効となる。Apple対Samsungの特許訴訟におけるITCの最終判決としては、つい先日、Appleの旧製品の輸入・販売差し止め令に対し米政府が拒否権を行使している。

 この裁判は2011年7月にAppleが提出した苦情を受けてのもの。Appleは当初、Samsungのスマートフォンとタブレットが自社の7件の特許を侵害していると主張していた。問題となる特許はその後6件となり、2012年秋に下された初期判決では4件の特許についてSamsungが侵害しているとした。8月9日に下された最終判決では、2件の特許について、Samsungが侵害しているというAppleの主張を認めた。

 1つ目の特許は米国特許番号7,912,501で、イヤフォンなどオーディオへットセットのジャック挿入を自動認識する技術。2つ目は同7,479,949で、マルチタッチ技術に関する特許。発明者にAppleの創業者のSteve Jobs氏の名前があることから“Steve Jobs特許”とも言われている。ITCの書類では、該当するSamsungの製品名を明記していない。

 ITCの最終判決は、その後60日間の間に大統領の許可を受けた後で有効となる。

 ITCはSamsungがAppleを提訴した別の特許侵害訴訟について6月、一部のAppleモバイル製品が1件のSamsungの特許を侵害しているとして輸入・販売差止令を下した。これに対し、大統領を代表して米通商代表部(USTR)は8月3日、拒否権を行使したばかり。その後、韓国政府が米政府の判断に懸念を表明したことが伝えられている。

 今回の判決でも米政府の動きが注目されるが、問題となっている特許の性質が異なる点がポイントとなりそうだ。米政府が拒否権を発動したSamsungの特許は無線通信技術に関するものでFRAND条件でライセンスする標準必須技術特許(SEP)に分類されるが、今回の2件のApple特許はSEPではない。

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