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3Dプリンターの流行と国内製造業の衰退

2013年08月05日 07時00分更新

宮原 淳(Jun Miyahara)/アスキークラウド編集部

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 今、さまざまな業界からの関心を集めている3Dプリンター。本来は非常に高価な工業用機器だが、精度を下げた低価製品も登場している。中国のデルタ・マイクロ・ファクトリーは7月下旬、19万9800円という3Dプリンター「UP Plus 2(アップ プラス2 )」を発売した。また国内のオープンキューブが7月29日に発売した「SCOOVO C170」は18万9000円だ。さらに、6万9800円という激安3Dプリンターも登場。オリオスペックが8月下旬に発売する「REPRAP MENDEL Evolution」だ。仮組の状態で届く上にサポート対応もないなど、マニアックな製品とはいえ、驚異的な低価格だろう。

fuji 低価格3Dプリンター「SCOOVO C170」。造形素材にはPLAフィラメント使う。この造形素材によってランニングコストが大きく変わる。

 一方、低価格で出力を代行する企業もあり、nomado(ノマド)もその1つ。顧客からインターネット経由でデータを受け取り、出力した作品を届けるシステム。データはクラウドでやり取りでき、年間約5万点の出力が可能だ。料金は素材によって異なるものの、1600円で出力できるケースもある。ネット通販企業DMMを利用すると、個人からの注文も可能だ。

 低価格の個人向けモデルや受託方式での高性能機の使用など、3Dプリンターは最もホットな分野。ベンチャーや中小企業が試作機を安価に作れるといったメリットは大きく、日本の製造業にも大いにチャンス。しかしこの急速な変化は別の問題も引き起こしている。

 中国3Dプリント技術産業連盟の予測では、中国の3Dプリンター市場は2016年に100億元(約1600億円)に拡大し、世界最大になるという。もともと3Dプリンターに対しては、模倣品を増長する危険性が指摘されていた。人気製品を分解して部品の形状をスキャンし、3Dプリンターで出力するというわけだ。開発力で遅れをとる中国では3Dプリンターが日米欧に追いつくための武器。3Dプリンターそのものの模倣品まで登場しているというから驚きだ。

 中国国内に知的財産権の理解を浸透させるのが模倣品問題の解決への正攻法だろうが、それにはまだ時間がかかる。ベンチャーや中小企業が3Dプリンターを活用する一方で、大手企業は3Dプリンターから製品を守る技術も開発する必要があるのかもしれない。


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