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恐いほどのノイキャン性能! ボーズ「QuietComfort 20/20i」

2013年08月02日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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これまでのボーズとはひと味違う
ストレートな音

 それでは、音楽を聴いてみよう。ついに第4弾まで発売された人気シリーズ「Platina Jazz:Anime Standards」の最新盤から、元々ジャズベースの曲をアレンジした「妖怪人間ベム」を聴いた。

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 原曲のムードをうまく曲に乗せた軽快なメロディがのびのびと鳴り響く。ノイズキャンセルだから周囲の騒音に負けないように音量を上げすぎる必要はなく、いつもよりもすこし控えめの音量で聴いたが、それでも微小音の再現が凄まじく非常にダイナミックレンジの広い演奏に感じられる。

 これならば、全体に静かでしっとりとした曲調ながら、メインの旋律でぐっと盛り上がってくる「月の繭」が気持ちいいはず。ドンピシャの高揚感だ。

 感情をぐっと抑えたピアノのテンションの高さ、ホーンが加わって音の厚みと情感が一気に炸裂するメインテーマがよく感じられる。ノイズキャンセルによって得られる静寂があるからこその生々しい音楽の世界だ。

 基本的な音調もボーズらしいナチュラルなバランスのよさがさらに熟成された印象で、低音はいつもどおりしっかりとしているのだが、あまり過剰にならず、どちらかというとタイトで解像感の高い描写になっている。

 生の音楽に近い聴こえ方や音楽の楽しさを伝えるボーズの音とはひと味違う、モニター調のストレートなサウンド。それでいてボーズらしい聴きやすさを兼ね備え、上品にまとめている。これはいい!

 ちなみに、電源をオフにしてパッシブなヘッドフォンとして聴いてみたが、少し音量を上げてやらないと周囲の騒音で微小音が聴こえにくくなるし、穏やかで聴き心地はいいが解像感の高さや音のキレ味などが鈍ったように感じる。

 ただし、電源オン/オフで聴き比べても、音質的な変化はほとんどなく、ノイズキャンセルにありがちな不自然さもほとんど気にならない。

音楽を聴きながらも会話ができる「Awareモード」

「Awareモード」のオン/オフはインジケーターで確認できる

「Awareモード」のオン/オフはノイズキャンセルユニットのインジケーターで確認できる

 面白いのが「Awareモード」。マイクが拾った周囲の音をキャンセルせずにそのままヘッドフォンから再生する「モニター機能」のようなものだが、本製品の場合はエアコンの空調ノイズなどはキャンセルし、会話だけがヘッドホンを通して聞こえるようにしている。もちろん、音楽再生は続けたまま問題なく会話を続けられる。

 これは、仕事中や休憩中にノイズキャンセルを使っているときに、誰かから話しかけられたときだけでなく、駅構内や空港などでアナウンスを聞きたいときにも便利だろう(すべての音が聞こえるわけではないので、歩行しながらの音楽再生は危険なのは変わらない)。強力なノイズキャンセルを備えるとともに、より使いやすくなったのはうれしい進化だ。

自分のいる場所が極上のオーディオルームになる感激
音楽を聴く時間がもっと快適なひとときになる

 筆者はヘッドフォンではあまり大きな音量で音楽を聴かないようにしているので、音楽が静かな部分で周囲の音が漏れ聞こえてしまうようなことが度々ある。

 そのたびに音楽への集中が途切れてしまうし、喫茶店などで休憩しているときにはリラックスできにくい状況にイライラすることもある。早く家に帰ってオーディオルームに閉じこもりたいと思う。静かな環境というのは、それだけでずいぶんと心休まる場所になるのだ。

 それが、QuietComfort 20/20iがあれば、いつでも自分のいる場所が極上の空間になる。これはやはり素晴らしいことだ。強力なノイズキャンセルを実現しながら、副作用と言える不自然な無音の違和感を低減できたのは、新世代のノイズキャンセルと言いたくなる。

 リラックスしたり、仕事や勉強に集中するためでなく、より高音質で音楽を楽しむための「初めての」ノイズキャンセルヘッドフォンが登場したと思う。この極上の静けさは音にこだわる人ほど、ぜひとも体験してみてほしい。

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