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マイクロソフト・トゥディ 第55回

日本マイクロソフト、「MGX」三連覇ならず! “雪辱”が新たな事業方針に?

2013年07月25日 19時30分更新

文● 大河原克行

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日本マイクロソフトが三連覇を逃した要因は?

 ところで、日本が三連覇を逃した要因はなんだろうか?

 MGXでは、その評価が明らかにされないことや、30項目近いスコアカードの総計を含め、本社幹部による詳細なレビューによる結果であることから、なかなかその理由を特定することはできない。

高評価を得ていた総合評価

 ただ、大接戦だったということからも分かるように、日本法人の総合的な成績は高評価を得ていたのは事実だ。

 日本で行なわれた7月2日の新年度経営方針記者会見で樋口社長が説明したように、エンタープライズ、中堅中小企業(SMB)、パブリックセクター(公共機関向け)向けなどの法人事業は2桁成長を遂げている。MGX期間中にも、法人向けのいくつかの部門や製品別成績においては日本がベストな成績だったことや、顧客満足度およびパートナー満足度のスコアにおいては日本が最も向上した国として紹介された模様だ。実際MGXでは、複数の日本のユーザー事例がSLTメンバーのプレゼンテーションの中で訴求されたという。

コンシューマPC関事業は、想定よりも低迷

 一方で、樋口社長によると、コンシューマPCに関連する事業は、想定よりも低迷したようだ。日本法人におけるコンシューマ向け中核事業のひとつにPIPC(プレインストールPC)がある。これは、PCのプリインストールされるOffice製品のビジネスであり、日本においては、コンシューマPCのほぼ100%にOfficeが搭載されるなど、世界的にも高い評価を得ているビジネスだ。2年前には、PIPCが世界ナンバーワンの表彰を受けた経緯もある。

 しかし、PIPCのビジネスは、PCの出荷台数がビジネスを左右するという側面がある。PCの出荷台数が少なくなれば、そのままOfficeのインストール数が減少。その構成比が大きい日本の場合、直接的な影響度合いが大きいのだ。

 マイクロソフトの2013年度の事業年度に当てはめると、日本のコンシューマPC市場は、前年比約15%の落ち込みが見られており、それが、日本マイクロソフトのPIPC事業に直接影響したともいえる。

「雪辱」をキーワードに、“ダントツ”で他国をリードする

 あと一歩で三連覇を逃した日本マイクロソフトだが、すでに気持ちは切り替わっている。

 実は、樋口社長は三連覇を逃した直後、日本マイクロソフトの全社員宛てにメールを送信。その中で、2014年度のキーワードに新たに「雪辱」を追加することを表明した。樋口社長はメールの中で、「全社スローガンのキーワードとして雪辱を掲げ、1年間の業務を遂行する」と宣言したという。

 この言葉は、まさにNo.1 Subsidiary奪回を意味するものであり、今年もNo.1 Subsidiary獲得にこだわることを明らかにした格好だ。

 社内イベントに対するキーワードだけに、この言葉は対外的に使うことはないといえよう。だが、日本マイクロソフトの社員にとって、モチベーションのベースにこの言葉が埋め込まれることになるのは確かである。そして、樋口社長からは、「今年度は、接戦ではなく、日本が“ダントツ”で他国をリードするような形で、事業を展開しよう」というメッセージも付け加えられ、社員の間にも改めて気合が入ったという。

2014年度のビジネスに自信をみせる日本マイクロソフト

 樋口社長は、アトランタに発つ直前にこう語っていた。

 「国内のPC市場は、Windows XPのサポート期間の終了、消費税率の増税需要なども見込まれ、年末以降は回復してくると予想している。また、新たなCPUがインテルから登場し、Windows 8.1も登場する。(FY13では事業成績に入っていなかった)Surfaceについても、日本は想定以上に立ち上がりが順調であり、今後はアクセサリーが充実し、法人向けに販売チャネルも拡大する。新たな製品も登場することになるだろう。今年は死角がなくなる」。

Windows 8.1プレビュー版

日本では、想定以上にSurfaceの立ち上がりが順調で、今後はアクセサリーが充実し、法人向けに販売チャネルも拡大するとした

 2014年度のビジネスに自信をみせる日本マイクロソフトは、2014年度のNo.1 Subsidiaryの奪回に向けて動きだした。

 雪辱を果たせるか。むしろ、三連覇を逃したことで、日本マイクロソフトには、社外には公表されない、隠れた大きな社内目標が加わったといえる。


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