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人の声やアナウンスだけ取り出す「Awareモード」もすごかった

BOSE初のNCイヤフォンを試聴、雑音と大切な音を見事に選別!

2013年08月01日 12時00分更新

文● 西牧裕太/ASCII.jp編集部

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1m先にいる人の声さえ打ち消すノイズキャンセル

 通されたのは渋谷にあるBOSE本社内の試聴室だ。QuietComfort 20の説明を受け、実際にあり得るシチュエーションを再現しながら、ノイズキャンセリング技術を体感する。

6名分の椅子が用意された完全防音の試聴室。目の前のテレビから製品の説明が流れる

 まずは音を流す前にノイズキャンセリングの威力を確認。QuietComfort 20を耳に付け、モジュールのスイッチを入れる。すると、わずか1m先で説明しているBOSEスタッフの声が途端に聞き取りにくくなった。自分の声もちゃん発せられているか怪しい。安眠用の耳栓を奥まで押し込んだ状態で会話している感覚に近い。

 続いて、サンプリングした環境音を再生し、ノイズリダクションの性能を試す。防音室内で屋外と同じような騒音のある状態を疑似的に作り出し、その音をどれだけうまく低減できるかを試す実験で、シチュエーションは車や人通りが多い雑踏の中だ。QuietComfort 20を装着して音楽を再生すると、目の前のテレビに都会の大通りが映し出された。足元から振動が伝わり、車や人通りがリアルに体感できる状態だ。スタッフが手振りで指示し、QuietComfort 20を外すと、大音量の車のクラクションが突然耳に入ってきた。

イコライザーの駆動時間は約16時間。充電はMicro-USB経由となる。

 足元から伝わる振動は、雑踏の再現ではなかった。スピーカーから発せられる大音量によるものだった。この状態でも雑音は気にならない。音楽がクリアに聴こえていた。

人の声のみがスッキリと聞こえるAwareモード

 続いて新たに搭載されたAwareモードの体験だ。イコライザーとは別に付いている操作ボタンを押すとAwareモードに切り替わり、集音する周波数帯域が変わる仕組み。オンにすると雑踏音はうまく打ち消すが、クラクションであったり人の声、駅や空港のアナウンスは聞こえるようになるという。

iPhoneやiPadの音量調節にも対応した操作ボタン。Awareモードのオンオフは灰色のボタンを押す

 Awareモードを試すためのシチュエーションは、空港で音楽を聴くシーンを想定していた。こちらも人が多く、絶えずさまざまなアナウンスが流れている。通常のノイズキャンセルモードではもちろん音楽しか聴こえない。しかし、Awareモードをオンにした瞬間、空港のアナウンスが聞こえ始めた。

 多少のノイズが同時に入ってくるものの、しっかりと聞こえる人の声に比べると気にならない。また、ノイズキャンセル時にはほとんど聞こえなかったスタッフの説明が、シーンの途中でもクリアに聞こえたことに驚いた。

 ただし、人の声やクラクションなどを聞きやすくするため、音楽は多少意識の外に追いやられる感じがしたのは考えどころ。だが、必要な音を聞くためにわざわざヘッドフォンを外す必要はないのは嬉しい。必要な音をマイクで拾ってくれているのだから、場合によっては生で聞くより聞きとりやすいかもしれない。

 シミュレーションを通して、QuietComfort 20のノイズキャンセル技術はかなり高いものだと実感した。雑音に邪魔されることなく、音を楽しめるであろう、という期待感を持たせてくれる。

 とはいえ特別な空間、限られた時間での試聴であることも確か。さらには、今回ノイズキャンセルの実力を伺うという機会であり、正直に言ってしまうと肝心の音質に意識が向いていないのも事実だ。

 じっくりと向かいあったときにどんな感想を持つのか。製品版の発売が楽しみだ。なお、AVライター鳥居一豊さんによる詳細なレビューを掲載する予定なので、そちらもご覧いただきたい。

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