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楽天・三木谷浩史CEOインタビュー

英語公用語化がビジネスを変えた

2013年07月24日 07時00分更新

文● 取材/大河原克行、写真/篠原孝志

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インターネットショッピングモール「楽天市場」を中心に事業を拡大する楽天は、2008年に台湾で「台湾楽天市場」をスタート。同社のEC事業では初の海外進出であり、2009年にはタイの「TARAD.com」を買収、2010年には米Buy.comを子会社化。日本のベンチャー企業から世界のインターネットサービス企業としての一歩を大きく踏み出している。
さらに海外戦略を拡大を狙う楽天が、2012年7月に英語を公用語として正式運用したことは記憶に新しい。ちょうど1年が経過した今、同社の英語公用語化がもたらした効果を三木谷浩史代表取締役兼社長に語ってもらった。

三木谷CEO

楽天株式会社の三木谷浩史代表取締役会長兼社長。1965年、兵庫県神戸市生まれ。インターネットショッピングモール「楽天市場」を中心に事業を拡大。東北楽天イーグルス、ヴィッセル神戸のオーナーも務める。

 これから3〜4年で、楽天は本当の意味での世界化が進むことになります。というのも、この1年間、楽天グループでは英語を公用語化して、大きく変化してきた手応えがあるからです。

 最初の1年間の英語公用語化の成果は100点満点です。何が成果なのかと言えば、ひとつは社員の意識が変わったという点、もうひとつは社員の情報網が広がったという点です。

 米国のシカゴで「Internet Retailer Conference」が開催されたときのことですが、そこにこれまでは日本語しかできなかった楽天の社員が50人も参加して、日本でモノを売りたいという企業に対して営業活動を行いました。コミュニケーションするための英語から、実際に英語を使ってヒジネスに生かすという段階に入り始めたわけです。社員が英語を使うことにメリットを感じはじめてきたといえます。

 また社員の意識変化という点では、従来はアマゾン・ジャパンと戦うことばかりに目を向けていましたが、我々が戦っているのは世界で展開するアマゾンであり、世界中の先進的なサービスとの競争です。グーグルやイーベイ、アップルが、いま世界でどうなっているのかということにもこの1年で社員の目が向きはじめた。また、出店する店舗に関しても、日本のファッション業界の動向だけでなく、欧米のファッション業界はどうなっているのかということにも視野が広がっている。従来とは議論のレベルが違っているのです。これも英語を公用語にした成果です。

 経営にとってもメリットがあります。いまや楽天が生むアイデアや技術は、国際的なスタッフによって支えられています。英語の社内公用化によって、エンジニアの半数が外国人となり、なかでも外国人のスーパーエンジニアが活躍している。

 日本のコンピューター科学に関する学部を卒業する学生は、年間2万人しかいません。しかし世界に目を転じれば、米国では年間30万人、中国では年間100万人が卒業している。全世界でざっと200万人の卒業生がいるわけです。日本だけを対象にすると2万人。しかし世界中では200万人。広がりの差は歴然です。楽天は200万人の中から優れた技術者を採用できる体質へと変わってきたといえます。

三木谷CEO

 このように、会社自体が大きく変わり、楽天の手の打ち方のひとつひとつが変わってきたことがわかると思います。もはや楽天にとって、英語の公用語化は、ひとつの戦略として捉えるものではなく、世界中の全社員がコミュニケーションを取り、統一言語で全社員が考えるための経営における最も重要なレイヤーに位置づけられるものだといえます。もし英語を公用語化していなかったら、海外の競合にかなりやられていたでしょうね。

 英語の公用語化は、角川会長(アスキークラウド誌の編集主幹でもある、KADOKAWAの角川歴彦会長)にもぜひお勧めしたいですね(笑)。

 ひとつ反省しなくてはならないのは、英語の公用語化を進めるにあたり、私は中国語を勉強すると宣言したのですが、こちらは30点止まり。もっと頑張らなくてはいけない課題です(笑)。

 英語の公用語化によって変わった経営や社員の地盤をベースにして、僕たちが証明しなくてはならないのは、日本でやってきた楽天のビジネスが世界でも通用するということです。

 世界中には、グーグルやフェイスブックなどのすばらしい会社がある。そうした企業と比べると、楽天は社員の数や打ち手の数でも、まだまだ量が少ない。社員のレベルが上がり、世の中に価値を生むサービスをグローバルで作り、それによって継続的な成長や改善が行える組織へと変えていかなくてはなりません。


 好評発売中の「アスキークラウド 2013年9月号(創刊号)では、「私のフィロソフィー」にて楽天の三木谷浩史代表取締役兼社長に、その生い立ちや起業へのきっかけ、経営哲学、テレビ事業のこと、経営者になるために必要な要素──など、多岐にわたってインタビューを実施しています。



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