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SNSの影響力は選挙の当落には関係なかった

2013年07月24日 07時00分更新

文● 佐藤正生(Masao Sato)/アスキークラウド編集部

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 第23回参議院選挙が7月21日、即日投開票された。自民党は改選34議席を大きく上回り、65議席を獲得。自由民主党と公明党の連立与党は非改選を含めると135議席を確保し、衆参で与野党の議席数が逆転していた「ねじれ国会」が解消された。

 今回の参院選で注目されたのは、ネットを使った選挙運動が解禁されたことだ。自民党総裁「安倍晋三」のキーワードで16のTwitterアカウントが確認されたように、当初、対立候補による「なりすまし」の懸念もあったものの、選挙期間中の警視庁への被害相談はゼロだったという。

ネット選挙の悲喜交々

 ネット選挙が解禁される以前は、参院選(比例代表)では候補者一人当たり、はがき15万枚、ビラ25万枚、ポスター7万枚と規定されていたが、今回新たにネットが導入されたことで、各政党・候補者による選挙運動も効果的になると見られていた。

 選挙期間中、各政党・候補者ともにネットを使い政策や投票を呼びかけていたが、実際、得票に結びついたのだろうか? 今回、選挙運動で積極的にネットを活用した自民党の伊藤洋介氏、日本維新の会の小倉淳氏は当選を逃しており、ネットが選挙に与える影響に関しては懐疑的な意見もある。

 そこで、6月1日~7月20日までの各政党のTwitterを「クラウトスコア」で計測。これは、TwitterやFacebookといったソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の情報発信力を1~100の数値で示すサービス。100に近いほどSNSでの影響力が強いとされる。

score

政党別クラウトスコアの推移

 6月1日の調査開始時点でスコアが最も高かったのが、自民党とみんなの党(スコア:62)の2政党だったが、7月20日の投票日前日には、自民党が64とトップ、みんなの党と日本維新の会が63と続いた。選挙期間中、急速にスコアを上げたのが、新党大地。6月1日の35から徐々にスコアを上げていき、7月16日には50を超えた。新党大地がクラウトスコアを上げたのは、38万以上のフォロワー数を誇る田宮嘉一の擁立が影響していると考えられるが、今回の参院選では、新党大地は議席を失った。

 候補者では早くからネット選挙解禁に向けて取り組んでいた民主党の鈴木 寛氏(投票日前日のスコア:64)が3選を逃した。鈴木氏はSNSを政治活動に取り入れており、政治家の中では、ITを使いこなしていただけにネット選挙戦略は不発に終わった。一方、公明党の山口那津男氏のクラウトスコアは57(投票日前日の数値)と低く、フォロワー数も鈴木氏の半分にもかかわらず、3選を果たした。

 クラウトスコアの数値を見ると、必ずしもスコア上位の候補者が当選しているとは限らない。もちろんクラウドスコアはネットによる選挙活動の影響力を測る指標に過ぎないものの、ネット選挙だけで選挙戦を乗り越えようとしたある候補者は、投票日の数日前から街頭演説を行いリアルの選挙運動に舵を切ったという。いまだ有権者へのアピールはオフラインには適わないことを示すひとつの例だろう。とはいえ、ネット選挙運動はまだ始まったばかり。選挙期間中、YouTubeでの政策提言など新しい取り組みがなされており、政治家と有権者の距離が近づいたことは間違いない。


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