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「JAL SKY Wi-Fi」とインドネシアのオタク事情を探る 第3回

オタク活動は楽じゃない! ジャカルタのオタクショップ事情

2013年07月23日 19時00分更新

文● 伊藤 真広

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コミックの品揃えは豊富。ラノベは輸入品頼り?

 オタクアイテムショップ続いて、訪れたのはインドネシアのローカル書店。インドネシアのコミックを探しに訪れたのだが、残念ながらインドネシアオリジナルのものは皆無。

ローカル書店のGRAMEDIA。インドネシアでは本を読む習慣を持つ人は限られた階層のみのため、書店は高級ショッピングモールなどに極少数しかない

 インドネシアで販売されているコミックは、日本、中国、台湾、韓国のコミックをインドネシア語に翻訳したものがほとんどで、なかでも日本のコミックの割合が8割以上を占めている。

 これらのコミックの多くは、現地の出版社が日本の出版社と契約して販売している正規流通版で、価格は1冊150円前後。最新作とまではいかがないものの、現在連載中の作品も翻訳されている。

 日本のコミックは、欧米など一部の地域では翻訳の際に肌の露出や残酷描写を修正する場合があるが、インドネシアで販売されている単行本は修正が加えられた様子はなく、オリジナルの絵がそのまま出版されている。

インドネシアで翻訳されているコミックは、週刊誌に掲載されている作品が中心

 読者層は、小学生から高校生ぐらいまでのティーン・エイジャーが中心で、インドネシアでは、コミックは子供が読むものというイメージが強く、大人が公共の場でコミックを読んでいると「大人なのにコミクを読んでいるなんて」という目で見られることも多い。

 インドネシアで人気の作品は、女性はおのえりこ先生の「こっちむいて!みい子」(インドネシアでは「Mikko!」)、男性は青山剛昌先生の「名探偵コナン」とのこと。

インドネシアで女児を中心に爆発的な人気の「こっちむいて!みい子」

 ライトノベルなど、コミック以外の翻訳は進んでおらず、紀伊國屋書店が輸入販売している日本語版しか入手できない。価格も1冊1000円近いため、ライトノベルを読めるのは、日本語の読み書きができるハイクラスに限られている。

日本からの輸入書籍の販売を中心に行なう「紀伊國屋書店」。かなりマニアックなアニメ誌なども販売していた

 そのため、インドネシアの若年層が日本のポップカルチャー作品に初めて触れるのは、インターネットを通じてのアニメによるところが多いとのこと。

紀伊國屋書店ではライトノベルやイラスト集などを販売しており、日本語が理解できるオタクにとっての重要な情報源になっている

 インドネシアのオタク事情を調査してみたがいかがだろうか。同じアシアでも、だいぶ日本とは環境が異なることに驚いた人もいるだろう。自国で膨大な数のコミックやアニメが生み出され、フィギュアなどの関連商品が販売されている日本は、オタクにとってかなり恵まれている環境だと感じたはずだ。

 海外に渡航した際には、こうした現地のオタク事情に触れてみると、いい刺激になるはずだ。

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