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「AtermWG1800HP」―次世代規格11acなら、コレを買え!

2013年07月24日 11時00分更新

文● 林佑樹

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次世代無線LAN規格「IEEE802.11ac」(Draft)対応

 AtermWG1800HPが対応している新規格Draft 11acは、現在米国電気電子学会(IEEE)において策定中で、2013年末には標準化される予定だ。日本国内でも、2013年3月の電波法関連規則の改正によって利用できるようになった。すでに触れたように、通信速度(規格値)は最大6900Mbps(6.9Gbps)にもなる。この高速通信の実現には、「チャネルボンディング」(周波数帯域幅の拡大)、「通信の多重化」(MIMO方式の拡張)、「変調方式の多値化」、「フレームアグリゲーション」(フレームの多重化)など、さまざまな新技術が用いられている。ここでは、これらについて簡単に触れておこう。

チャネルボンディング(周波数帯域幅の拡大)

 チャネルボンディングとは、複数のチャネルを結合することで周波数幅を広げる技術だ。道路に置き換えると、IEEE802.11a/gでは1車線(20MHz)だったものが、IEEE802.11nでは、隣り合ったふたつのチャネルをあわせて2車線(40MHz)になった。Draft 11acでは、さらにチャネルを束ねて4車線(80MHz)/8車線(160MHz)が可能となり、IEEE802.11nより高速に通信できるようになった。

 日本の場合は、電波法関連規則の緩和により、無線LANで使用できる5GHz帯での帯域幅の上限が緩和され、従来最大40MHz(2車線)に限定されていた帯域幅が最大160MHz(8車線)まで利用可能となっている(現行製品は、4車線の80MHz)。データの通り道が広がることが現実のものとなり、一定時間あたりの送信可能なデータ量が増加したのだ。

通信の多重化(MIMO方式の拡張)

 MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)は、複数のアンテナを使用してデータを同時伝送することにより無線通信を高速化させる技術。従来のIEEE 802.11nでも採用されているので、知っている方は多いだろう。この技術により、データ転送速度が一気に向上し、同時に障害物が多い環境でも安定して送受信できるようになったのだ。

 Draft 11acの規格では最大8×8となっており、一度に送受信できるデータ量が大幅にアップしている。AtermWG1800HPは3×3、AtermWG1400HPは2×2、AtermWF800HPは1×1で通信を行なえる。

 またIEEE 802.11acでは、MIMOを進化させた「MU-MIMO(Multi-User Multiple-Input Multiple-Output)」も採用されたことも注目だ。

 MIMOは「1基のアンテナ」から「複数のアンテナ」にデータ送信する形だが、MU-MIMOでは「複数のアンテナ」から「複数のアンテナ」にデータを送信できる。複数の無線LANデバイスを同時接続してもそれぞれで通信速度に影響が出にくくなるとされている(MU-MIMOはまだ製品化されていない)。

変調方式の多値化

 IEEE 802.11nでは、データを送受信する際の変調方式として、一度に6bitのデータを送れる「64QAM」が採用されている。一方、IEEE 802.11acでは変調方式に「256QAM」が採用された。256QAM方式では、一度に送受信されるデータ量が8bitとなるため、IEEE 802.11acは、IEEE 802.11nよりも約1.3倍多いデータを一度に送受信できることとなる。

 変調とは信号を電波に乗せることを意味しており、信号1単位で送れる情報密度が増えたとイメージするといい。例えば、トラックの積載量が増えたためにより多くの荷物を積めるようになり、送受信完了までの時間が短縮されることになったのだ。

フレームアグリゲーション(フレームの多重化)

 フレームアグリゲーション(フレームの多重化)は、1度に転送可能なデータ量を増やすための方法で、Draft 11acではデータフレームを拡張し、細かなパケットをひとつのフレームにまとめられるようになった。Draft 11acは、IEEE 802.11n(66535バイト)と比べてフレームサイズが16倍(1048757バイト)に拡大しており、効率的に多くのパケットを送れる。データ送信や応答確認に必要な待ち時間が大幅に短縮されるため、高速化を実現できるのだ。

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