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ソーシャル解析で分かる浅田真央の「いま」

2013年07月16日 07時00分更新

澁野義一/アスキークラウド編集部

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ソーシャルメディア上の声から、視聴者の感想を拾う「ソーシャルメディア分析」が盛んだ。マーケティング調査やキャンペーン効果測定などに使われている。そんな中、博報堂DYメディアパートナーズがアスリートを対象にした評判分析サービス「アスリートイメージ評価調査 ソーシャル解析+」(以下「ソーシャル解析+」)を開始。その狙いを取材した。

 世界で活躍するアスリートたち。あなたは、どのようなイメージを持っているだろうか。例えばヤンキースのイチロー選手を思い浮かべて欲しい。クールな印象を持つ人もいれば、軽いノリから気さくに感じている人もいるはずだ。

 そのような選手の評判を、ソーシャルメディアから分析するサービス「ソーシャル解析+」が、博報堂DYメディアパートナーズからリリースされた。同社の「アスリートイメージ評価調査」の追加サービスメニューだ。

 「アスリートイメージ評価調査」は2008年から年4回実施しており、認知度や好感度といった項目でアスリートのイメージを測定する。CMキャスティングなどの参考用データとして利用されているという。同調査は各記者クラブにも配布されるなど、信頼性が評価されている。

 一方で、従来型のアンケート調査には限界もあった。調査を主導した博報堂DYメディアパートナーズの大足由紀子氏によると、「著名なアスリートはあまりイメージが変わらないことが分かってきた」という。

写真右が博報堂DYメディアパートナーズ、統合コミュニケーションデザインセンター、ナレッジビジネスプロデューサーの大足由紀子氏。左が「ソーシャル解析+」におけるソーシャル分析を担当したソリッドインテリジェンスの狩野 翼氏

 「例えば浅田真央さん。彼女はかわいいイメージが確立しているため、選手として活躍するシーンが多い冬場でも、また比較的露出が少ない夏場でも、一貫してイメージが変わりません」(大足氏)。

 もちろんこれは悪いことではないが、「まさに今、浅田真央はどう思われているの?」という疑問に答えられていないのも事実だ。

 そこで注目したのがソーシャルメディア。昨年のロンドンオリンピックが「史上初のソーシャル五輪(ソーシャリンピック)」として盛り上がったこともあり、調べてみたところ面白い観点が浮かびあがってきたという。

 「浅田真央さんはフィギュアスケートのイメージから、かわいい/華やか/頑張り屋といったキーワードで語られがちです。ですがソーシャル上では、逆境の中でも前向きに努力している彼女の強さに共感する書き込みが多く見られました」(大足氏)。

 この事実は、CMキャスティングの新しい提案に結びつく。浅田真央の「精神的強さ」をフィーチャーすれば、大人のイメージのCMに彼女を起用するような提案ができるわけだ。

アスリート以外にも調査対象を拡大予定

 それでは、実際に「ソーシャル解析+」ではどのような分析ができるのか。

 機能は大きく3つ。ソーシャル上で特定のアスリートがどれくらい言及されているかを調べる「アスリートソーシャルトレース」、特定の期間の書き込みのポジティブ/ネガティブ比率などを詳細に分析する「アスリートソーシャルレビュー」、アスリートについて言及している人の属性や行動の傾向を探る「アスリートソーシャルペルソナ」だ。

「ソーシャル解析+」のサンプル。調査対象のソーシャルメディアはTwitter、Facebookの公開アカウント、各種ブログ、Yahoo!知恵袋などの質問形式の掲示板。2ちゃんねるは対象外とのことだ

 「アスリートソーシャルトレース」では、アスリートに関する言及量の推移と、アスリート名が言及されたコメントを抽出している。例えば浅田真央の場合は「浅田真央」という単語が入った書き込みを拾っている。「真央ちゃん」や「フィギュアの真央」といった書き方のものは、別人の可能性があるため除外しているという。

 悩ましいのが、同名の対象者が多いアスリートの場合だ。ソーシャル分析を担当したソリッドインテリジェンスの狩野 翼氏によると、「イチロー選手で抽出しようとすると小沢一郎さんも引っかかってくるため、小沢さんを除外ワードに設定している」という。

 「アスリートソーシャルレビュー」での書き込みのポジティブ/ネガティブ判定は、主語/述語や修飾語/被修飾語の関係を見たうえで、その単語がポジティブかネガティブかを機械的に判断している。

 そのため、文脈で意味が変わるような内容を抽出するのは難しい。「例えば『料理が冷えている』の『冷えている』はネガティブですが、『ビールが冷えている』の場合はポジティブ。こういう場合はその都度、辞書に登録して覚えさせます」(狩野氏)。

 「アスリートソーシャルペルソナ」では、アスリートの名前を書き込んでいる人が使っている単語の傾向を分析し、属性や趣味嗜好などのユーザー像を推測する。例えばイチロー選手の場合、「妻」や「子供」といった言葉が頻出していたほか「車」や「不動産」への言及もあったため、社会的ステータスの高い既婚男性が多いと推測できるわけだ。

 「ちなみに浅田真央さんへの言及は、若い既婚女性が多いと分かりました。あくまで一例ですが、若い既婚女性層をターゲットにした軽自動車のCMに浅田さんをキャスティングする、といった提案が考えられます」(大足氏)。

 博報堂DYメディアパートナーズでは「ソーシャル解析+」を自社内の基礎データとして用いているほか、キャスティング会社や大学などの研究機関へ販売している。「今期の目標は50件の受注」(大足氏)という。

 さまざまな応用が利きそうな技術だが、今後はどのような展望を抱いているのだろうか。

 大足氏によると、博報堂DYメディアパートナーズに強みがある韓流アイドルへの活用を考えているという。また、コンテンツやメディアを対象にした調査も視野に入れている。「いろいろな反響を聞きながら、少しずつ改良していきたい」(大足氏)。

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