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Apple Geeks 第120回

「iTunes Radio」は音楽を変えるのか?

2013年07月12日 21時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu

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ストリーミングサービスでは「導線」が意味を持つ

 ここで、今後iTunes Radioと競合する可能性があるサブスクリプション型、平たくいえば“聴き放題型”音楽配信サービスについて考えてみたい。例として挙げられるのは、SONYが推進する「Music Unlimited」だ。SONYはグループ内にレーベルを持ち、コンテンツホルダーとして音楽配信サービスにも一定の影響力を持つ。そのSONYが自ら定額の聴き放題サービスに取り組み、“全方向展開”を開始しているのだから、iTunes Radioの強力なライバルといっていいだろう。

バージョン1.3.1にアップデートされた「Music Unlimited」。iOS版アプリでもAAC 320kbpsの高音質配信に対応した

 Apple製品ユーザーの目線でいうと、当初のMusic Unlimitedはそれほど魅力的なサービスではなかった。ストリーミングされる楽曲は一律HE-AAC 48kbpsでエンコードされ、お世辞にも音がイイとはいえず、月額1490円(後日980円に値下げ)に不満を感じさせる一因となっていた。しかし、Android端末でAAC 320kbpsの高音質配信をスタート、6月11日公開の最新バージョンではiOS版アプリも高音質対応を果たした。iTunes Radioのビットレートは明らかにされていないが、iTunes Plus(AAC 256kbps)より有利だ。

Music Unlimited App
価格無料 作者Sony Network Entertainment International
バージョン1.3.1 ファイル容量20.6 MB
対応デバイス全機種 対応OSiOS 5.1以降

 高評価を得られなかった原因であるストリーミングが途絶える問題も、オフライン再生のサポートでひとまずの解決を見た。気に入った楽曲を端末側に保存(契約期間内有効、曲数には上限あり)できるこの機能は、Android版アプリでは以前から実装されていたが、iOS版は対応が遅れていた。「自社製品のWALKMANやXperiaに誘導せんがための仕掛けか?」という声も囁ささやかれたが、今回のアップデートによりiOS版アプリも音楽再生の条件面では並んだわけで、「これで試す気になった」という音楽ファンもいることだろう。

iOS版アプリもオフライン再生に対応、ファイルサイズからするとHE-AAC 48kbps程度でのエンコードと推測される

 しかし、Music UnlimitedにはiTunes Radioのような「導線」がない。SONYグループにはmoraという音楽ダウンロード販売サービスがあり、同様の仕掛けを設けることは技術的には不可能ではないだろうが、今現在は見送られている。もっとも、オフライン再生用にダウンロードしたものと同じ曲をiTunesでHE-AAC 48kbpsでエンコードしたところ、ほぼ同じファイルサイズだったことから、今後ダウンロード販売機能を追加する含みは残されていそうだ。

Music Unlimitedの再生画面。iTunes Radioのようなダウンロード購入用の「導線」は見られない

 ユーザーにとって、楽曲の音質やアプリの使い勝手は無視できない要素だが、選別の基準はなにより「品揃え」だ。ストリーミングでの利益は微々たるものだが、聴いて気に入った曲は即購入可能というiTunes Radioのスタイルは、コンテンツホルダー側の期待にもかなうはずで、そうすれば品揃えも充実して……という好循環が生まれるかもしれない。Music UnlimitedにしてもiTunes Radioにしても、どうやってコンテンツホルダーを“繁盛させるか”が、最大の悩みどころなのかもしれない。


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