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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック”第21回

イノベーションは社会の歪みから誕生する

2013年07月19日 09時00分更新

文● 前田知洋

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友人にプレゼントされた名前入りのPost-it

 マジックの世界にも流行があります。農業革命以前、人々が貧しかった時代には、米やフルーツを出現させるマジックが人気を集めました。脱出のマジックは、人間の可能性を追求し、希望あふれる明るい時代に受け入れられました。

心霊現象や小悪魔が登場するマジシャンのポスター

 マジックにしても企業にしても、素晴らしいイノベーションの成功の鍵になるのは、社会に受け入れられるかどうかです。

コミュニケーションの歪みが生んだFacebook

 知らない人とでも会話が盛り上がる人もいれば、キーボードを叩いてテキストのコミュニケーションが何となく得意という人もいます。今までの社会では、バーバルコミュニケーション(口語による意思疎通)を重視する傾向にありました。対人能力、プレゼン能力といえるかもしません。

 しかし、Facbookの創業者の1人のザッカーバーグは、一風変わっていました。学生時代には、ハッキングで得た女学生の写真でネット上の美人コンテストを行い、それで大学の保護観察処分をうけたほど。たしかに面白かったのかもしれませんが、今までの価値観だったら「直接会って、デートに誘えばいいのに…」と多くの人が思ったはずです。

 後にザッカーバーグはFacebookのプロトタイプを完成させます。おそらく、ザッカーバーグやハーバード学生たち、アイビー・リーグの学生たちのなかでも、オンラインのコミュニケーションが得意だった人から普及していったのかもしれません。確かに、リアルに会って交流するって、ファッションだとかタイミングだとか、いろいろと面倒なプロセスがあることは確かです。

 リアルなコミュニケーションが得意じゃない。しかし、社会や人々はバーバルコミュニケーションをありがたがる。でも友だちを増やして交流したい。そんなキャンパスの歪みがFacebookを生み、普及させたと想像することもできます。

 いっぽう、匿名でのコミュニケーションの先行き不安もあります。「炎上」や「誹謗中傷」が起きたときに必ず問題になる、匿名性や自作自演とよばれる第三者へのなりすましなど。本名を明かすことですべてが解決されるとはいえませんが、そうした「コミュニケーションと匿名であることの歪み」がFacebookというイノベーションのアドバンテージになっています。

2011年のエジプトの「1月25日革命」はFacebookでも呼びかけられた。写真:Essam Sharaf(CC BY-SA 3.0)

ときには失敗や不満もイノベーションに繋がる… ポストイットの場合

 有名なポストイットの誕生秘話として、3Mの研究員スペンサー・シルバーが「強力な接着剤を作ろうとしたら、弱い接着剤ができてしまった失敗のエピソード」があります。しかし、同研究所のアーサー・フライが、教会で賛美歌の本に挿む紙片(付箋紙)がよく落ちてしまうことを不満に思っていたというエピソードもあります。シルバーの失敗とフライの不満を組み合わせたこと、それが大ヒット商品につながりました。

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