Windows搭載PCを発売するメーカーへの影響
日本マイクロソフトがSurfaceの販売に本腰を入れると影響すると見られるのが、Windows搭載PCを発売するメーカーの販売だ。
だが、日本マイクロソフトのコンシューマー&パートナーグループ担当・香山春明執行役常務は、「量販店での販売データをみても、OEMパートナー(PCメーカー)への影響は出ていない。Surfaceの登場でAndroidデバイスの販売が落ちている」とする。
また、樋口社長も「これまで購入したタブレットでは、多くのことができないことに、ユーザーが気づき始めている点が見逃せない。タブレット市場が、これからフェーズ2に入る中で、Windows 8.1とSurfaceに対する評価が上がってくるだろう。Windows陣営としてみた場合、戦う相手は別のところにある。Windows陣営として盛り上げることができる」などとし、影響は限定的であるとの見方を示した。
だが、昨年の重点製品と位置づけたクラウド関連製品の販売で、異例ともいえるほどの販売インセンティブプログラムを販売パートナーに向けに用意した日本マイクロソフトのことだ。Surfaceの本格販売にあわせて、販売パートナーが本気になって販売したくなるような仕掛けを用意する可能性は捨てきれない。そうした場合に、既存のPCメーカーへの影響が出ることも考えられるだろう。
「4週連続でiPadを上回る販売実績」の実態は?
一方、樋口社長は、経営方針発表会の席上、Surfaceの販売状況についても言及した。
「量販店では4週連続でiPadを上回る販売実績となっている。展示スペースは小さいのにも関わらず、こうした実績になったことには、我々も驚いている」とする。
これまでは、「Surfaceは予想以上の売れ行き」「発売前にこれだけの予約数となった製品は過去にない」といった表現を用いていたが、今回は、初めてiPadの販売を上回ったことを示してみせた。
だが、完全にSurfaceがiPadを上回ったのかというと、そうでもなさそうだ。
今回の調査は、樋口社長がいうように、量販店店頭においての集計値。直営店のアップルストアや直販サイト、ソフトバンクやKDDIといったキャリアの販売窓口は集計には入っていない。
また、iPadと表現しているように、第4世代iPadが比較対象であり、iPad miniは含まれていない。
そして、ここにきて一括導入などが増加しているiPadの法人向けルートでの販売数量は含まれておらず、Surfaceがまだ手つかずの分野での差は歴然だ。
加えて、5月31日のアップルによるiPadの値上げ、6月13日の日本マイクロソフトのSurface RTの価格引き下げという事態も影響している。
こうしてみると、SurfaceがiPadを抜いたのは量販店という一部の領域の話であり、日本全体でSurfaceがiPadを抜いたというわけではないようだ。
本当の勝利宣言はいつか
日本マイクロソフトは、予算計画を持った2014年度のSurface本格展開によって、本当の意味でiPadシリーズを抜くことができるのか。樋口社長の口から、本当の勝利宣言を聞いてみたい。
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