米マイクロソフトは、サンフランシスコでの開発者向けイベント「BUILD 2013」(現地時間26~28日開催)でBingプラットフォームサービスを新たに発表した。これまではサードパーティーの開発者向けにBingの検索プラットフォームを提供してきたが、今後は「New Bing Developer Services」として、光学式文字認識機能(OCR)や音声認識機能、翻訳機能といったインテリジェンス機能なども公開。また、Bingを利用する開発者のコミュニティとなる「Bing Developer Center」も開設している。
サードパーティーの開発者は、インテリジェンス機能なども組み込んだアプリの開発が可能となる。米マイクロソフトにとってはこれにより、Bingをベースとしたアプリの開発が大きく進展し、Bingのシェア拡大も期待される。グーグルにも検索機能のほか、インテリジェンス機能と呼べるものが搭載されているが、今回のBingのように、検索機能だけでなくインテリジェンス機能もサードパーティー向けにプラットフォームを公開したケースは珍しいだろう。
この背景に考えられるのは両社の収益構造の違いだ。米グーグルは、アドワーズ広告などグーグルでの広告収入を大きな収益源の1つとしているため、グーグルでAPIを開放できる余地は限られてしまう。一方の米マイクロソフトは、OSやサーバ、クラウドをはじめとした各種サービスなどさまざまな収入源を持ち、BingのAPIを開放しても収益にマイナスの影響は及ばない。革新的に時代をリードしてきた米グーグルと、その遅れをとっていた米マイクロソフトの立場が、今回はある意味逆転しそうだ。
また、今回の米マイクロフトの動きについて、専門家のブライアン・プロフィット(Brian Proffitt)氏はテクノロジー情報サイトの米リードライト(ReadWrite)で、検索エンジンでの検索が具体的な行動につながる可能性を指摘。たとえば、新しいヘアサロンを探そうとすると、検索エンジンがその結果を表示するだけでなく、検索ユーザーのスケジュールをもとにヘアサロンの予約日時を提案することもできるようになるのだ。米マイクロソフトは今まさに、インターネット業界の新たなフロンティア領域に踏み込んだことを宣言したともいえる。