先週発売されていきなり品薄状態になってしまった、コルグの「volca」シリーズ。取材を取りまとめたワタクシも、自分の書いた記事を読み返しているうちに欲しくなり、通販でvolca beatsを買おうと思ったら「入荷時期未定」に……。そんな酷な状況でvolcaシリーズのインタビューは「volca bass」の話題へ。
volca bassは、90年代のアシッド・ハウスでさかんに使われた「TR-303」型のベースマシンで、「スライド」という機能の付いた16ステップのシーケンサーが特徴。指定したステップのみトリガーを出さず、ピッチだけ滑らかにポルタメントする機能で、これがベースのシーケンスに欠かせない要素として、すっかり定着している。発音のタイミングといい、ポルタメントのカーブといい、あの独特のノリが再現できていて、TBフォロワーには大満足のはず。
もちろん、ただそれだけではない。この時代にわざわざアナログで出す理由は音しかない。volca bassの魅力は、3オシレーターによる分厚い音と、現代の高精度なパーツで量産品として蘇った、miniKORG700S由来のフレッシュなフィルターサウンドだった。
volca bassの公式ムービー。高橋さん自身が出演して英語で解説。カッコいい!(bassの音と高橋さんが)
過去最高密度の基板設計
―― というわけで次はvolca bassです。この鍵盤部分のセンサーは何ですか?
高橋 静電容量です。
坂巻 ちなみに、ここの部分は基板むき出しなんですよ。
―― スタイロフォン※1みたいなイメージですよね。それは安く上げようということで?
高橋 いや、基板でこれをやるのは安くないですよ。
坂巻 基板じゃないほうが安いかもしれませんね。基板って金を使っているじゃないですか。それを見えるようにしようと高橋くんが言い出して。
高橋 この文字も全部基板です。
坂巻 この変なテクスチャーも見えるじゃないですか。これも全部基板です。黒いからそう見えないだけで。
―― これ、基板は何枚入ってるんですか?
高橋 これは2枚ですね。
坂巻 まあ中を開るとゾッとしますけどね。過去最高密度だよね?
高橋 センサーやボリュームが載っているメイン基板の上に、音源も電源もマイコンも全部載っているんです。パネルの上にコネクターやらボリュームやらが、ぎっしり埋まってるじゃないですか。
―― 機構部品のある場所には入らないですからね。
高橋 そうそう。その他の空いている場所に回路を入れるんですが、ほとんど場所がないんですよ。
※1 元祖ガジェット楽器のスタイロフォン。鍵盤状の金属面を接点の付いたペンでなぞって鳴らす。
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Re:creation / リクリエイション スタイロフォン StylophoneRe:creation
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