「Sprite Kit」でゲーム開発が変わる?
基調講演ではほとんど言及されなかったが、スライドには「Sprite Kit」の文字が見える。これはおそらく、スプライト機能(背景画の前面に別の透明な面を重ねて描画する技術)を含む開発フレームワークのことで、アクションゲームなど2D描画を多用するアプリをターゲットにしていると推測される。こちらについても"NDAの向こう側"だが、わずかながらWWDCで開催されたセッションの紹介文(紹介文自体はNDAではない)に目を通すと、想像どおりゲーム用の2D描画APIだと分かる。
これまで2D描画を必要とするゲームアプリの多くは、サードパーティーが提供するAPIを利用してきた。なかでも人気は「Cocos2d」で、スプライト機能など描画だけでなくゲーム開発に必要な機能を一通り揃えており、無料で商業利用も可能だ。ただし、iOS標準のUIにアクセスしにくいというサードパーティーゆえの不便さもある。
もしSprite Kitが期待したようなAPIだとしても、Cocos2dなどのサードパーティー製APIをただちに置き換えるとは考えにくいが、iOS標準のUIを利用できるといった“純正品”ならではのメリットは期待できそう。前述した「MFi game controllers」のサポートも考慮すると、いずれは主流となるのだろうか。
「iBeacons」に注目
iOS 7でサポートされる「AirDrop」は、iOSデバイス間でスムーズな近距離通信を可能にする実装だ。写真など各種データを、Wi-FiもしくはBluetooth経由で付近のiOSデバイスへと送信する。そのうちBluetoothが重要な意味を持ちそうだ、ということは前回書いたとおりだ。
「iBeacons」も基調講演ではスライドに書かれた程度の扱いに過ぎなかったが、セッションの紹介文(NDAではない)を読むと、Core Locationの新機能であり、Bluetooth LEベースの位置情報を把握する仕組みということが分かる。
これは筆者の想像だが、iBeaconsを使えば「屋内型GPS」的なことが可能になりそうだ。しかも利用するのはBluetooth LE、せいぜい数メートルの範囲だろうが、わずかな電力消費で他のiOSデバイスの移動を知ることができる。実際どのようなアプリが出てくるかは分からないが、個人的にはゲーム以上に期待している。
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