昨年末から今年に入り、テレビメーカー各社が次々と4Kテレビを発表してきた。いずれも、メーカーの中での最高峰に位置するモデルとして4K高画質をアピールしている。
その中で、他社に先駈けて2011年末に4Kテレビ(55X3、55XS3)を投入した東芝は“超ハイエンドモデル”的位置づけとなる「X」シリーズではなく、多くのユーザーに手の届く高画質モデルある「Z」シリーズに4Kモデルを投入した。
その名も「Z8X」シリーズ(関連記事)。実売価格で50万円前後と普及拡大につながる目安となる1インチ=1万円を切る価格を実現した58V型、75万円前後の65V型、168万円前後の84V型の3サイズをラインナップした。
Zシリーズに4Kテレビを追加したのは「もう4Kテレビは特別な存在ではない」という明確なメッセージだろう。来年夏に予定されるスカパー!での4K放送開始に向けて、次世代のスタンダードとなる4Kテレビの本格化を加速しようとしている。
今回は、58V型の「58Z8X」をチェック。気になる画質の実力を中心にじっくりと視聴し、そのインプレッションをレポートしたい。
地デジ放送やフルHDのBDソフトで4K高画質の実力をチェック!
まずは、Z8Xシリーズのおもな概要を紹介しよう。表示パネルはフルHDの4倍となる3840×2160画素。58V型と65V型はVA方式、84V型だけがIPS方式となる。また、3D表示は58V型がアクティブシャッター方式で、65V型と84V型が偏光式となっており、サイズ以外の異なる部分となる。それ以外の主な機能や装備についてはすべて共通だ。
最大の関心事はやはり4Kの画質。まずは地デジやBDソフトで58Z8Xの画質の実力を確認してみよう。
画質についてひとことで言うなら、4K=高解像度だけに、映像の解像感を積極的に引き出す再現だ。みっちりと詰まった映像でディテールも実に豊か。
最新のBDソフト「ホビット 思いがけない冒険」を見ると、ダイナミックな空撮を多用した雄大な自然のパノラマが肉眼視に近い鮮やかさで再現された。風に揺れる草原、ごつごつとした岩肌の質感、壮大なドワーフの都などファンタジーの世界でありながら、実に説得力のあるリアリティーがある。
近づいて見ても画素が見えないという理由もあり、フルHDとは映像の見え方、感じ方がまるで違っている。まさしく体験するという言葉が似合う視聴だ。
この秘密は、新開発の映像エンジンと4Kパネルによる「シネマ4Kシステム」。BDソフトならばほぼネイティブ4K映像に迫るクオリティ(水平解像度90%の復元率)で再現できるという。その新エンジンが「レグザエンジンCEVO 4K」。高画質化処理用クアッドコアCPUと、リアルタイム映像処理用デュアルコアプロセッサを組み合わせたものだ。
4K超解像技術も従来までの超解像に加えて、3つの超解像処理を追加している。細かなディテールを復元する「微細テクスチャー復元」、物の輝きや艶を際立たせる「輝き復元」、これまでの再構成型超解像処理を最適化した「絵柄解析 再構成型超解像技術」だ。
これまでは画面全体に均一に超解像処理を行なっていたが、絵柄解析 再構成型超解像技術により画素単位で映像を分析することで、草原と岩肌の部分でそれぞれに異なる処理が行なえるようになり、より精度の高い超解像処理が行なえるようになった。
さきほどの、草原に大きな岩が点在するようなシーンもそうだが、さらに目を見張るのは、ロングで撮った映像の立体感だ。フォーカスの合った人物は精細さを増すのは当然だが、フォーカスの外れた背景はボヤケ感を残したままソフトにディテール感が増している。このため、極めてスムーズな3D表示をしているかのような映像になる。
残念ながら、今回は3D表示をチェックできなかったが、「ホビット 思いがけない冒険」は3Dソフトでもあるので、この映像を3Dで見たらどんな凄いことになってしまうのだろうとかなり胸がワクワクした。