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西海岸から見る"it"トレンド特別編

WWDC 2013:Appleが醸し出すエコシステムの温かい雰囲気

2013年06月15日 11時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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おごそかさと熱気と

 今回最も盛り上がった瞬間は、iOS 7を披露するJonathan Ive(ジョナサン・アイブ)氏が登場したビデオが終わった直後、再びTim Cook CEOが壇上に現れた瞬間でした。割れんばかりの喝采が寄せられ、Tim Cook氏も軽く手を上げる瞬間があったほど。

 会場に入って着席して1時間、プレゼンテーションがスタートするまで張り詰めた空気を感じたのですが、実際に基調講演が始まってからがまた大きく違い、その差を改めて感じさせられました。

iOS 7紹介ビデオ放映後、壇上に戻ったTim Cook氏。会場から大きな喝采が止まらず、力強く応えていたのが印象的でした。Appleが不調であるとのイメージを払拭する感触をつかんだようにも見えます

 Appleのプレゼンテーションといえば、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏。書籍にもなるほど聴衆を魅了するパフォーマンスも、WWDCでは2011年が最後でした。例年参加している開発者のひとりに話を聞くと、Jobs氏が登壇していたころは、より厳粛な空気を持ってJobs氏の第一声を受け止めていたそうです。

 「それに比べると今は物足りないのか?」と尋ねると「そんなことはない」と答えていたのが印象的でした。Jobs氏のパフォーマンスとは確かに違いますが、Cook氏をはじめとした現在のAppleのリーダーは、それぞれのキャラクターで、聴衆を楽しませてくれるといいます。

 Craig Federigihi(クレイグ・フェデリギ)氏のOS X MavericksとiOS 7の流れるようなデモや、聴衆を煽りながら新しいプロダクトを発表するPhil Schiller(フィル・シラー)氏、「Siri」や「iTunes Radio」を披露したEddy Cue(エディ・キュー)氏といった登壇したメンバーが言葉を止めてアピールするごとに、観客が応える。そんなコミュニケーションが行なわれていたと振り返ることができます。Jobs氏以降、場が「温かくなった」という声も聞かれました。Jobs氏が引っ張るという強いリーダーシップから、開発者も含めて「みんなで作り上げる」という雰囲気に変わってきたのかもしれません。

 特にスマートフォン/タブレットではAndroidに押されっぱなしにみえるAppleですが、開発や収益性に優れたプラットホームと、そこに息づく活発な開発者コミュニティを可視化できる。初めて参加したWWDCは筆者にとってそういう場に映りました。

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