富士通とのパートナーシップは?
日本においては、富士通とのパートナーシップにおいて、富士通が群馬県館林に置く館林データセンターを活用し、「FUJITSU Cloud PaaS A5 Powered by Windows Azure」(旧FGCP/A5 Powered by Windows Azure)を展開してきた経緯があった。
だが、これは、Windows Azureの基本機能は活用するものの、富士通のサービスメニューとしてまったく別の形で提供されており、日本マイクロソフトが提供するサービスメニューとは異なるものとなっている。
そのため、日本リージョンの開設に伴い、日本データセンターを置くことを優位性としていた富士通にとって、大きな競合が生まれることになるともいえる。
だが、両社は、競合する道を選択するのではなく、より連携を深める姿勢を強めている。
実は、日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「双方のサービスの価値を統合したような形で、日本の顧客により最適なクラウドソリューションを提供する方向へと提携を進化させる」と語り、日本マイクロソフトが発表した日本リージョン開設のニュースリリースでも、「両社のサービスの連携を、強化したものへと進化させていく」と明記している(関連リンク)。
この2つのコメントでは、両社の協業の進化の詳細内容はわからないが、一方で、富士通がこれまでに発表した資料をひっくり返してみると、その方向性が少し見えてくる。
富士通と日本マイクロソフトとの連携強化の姿
富士通は5月14日に発表した「Fujitsu Cloud Initiative」会見の中で、「Windows Azureをベースとしたハイブリッドクラウド」とする資料を示していた。
会見ではサラっと流された1枚であったが、今これを改めて見直すと、そこには、富士通のAzureベースのサービスである「A5」の文字とともに、初めてWindowsホスティングという言葉が使用されている。
富士通が提供している、「Fujitsu Cloud Initiative」発表会見の動画。16分19秒のあたりで、問題の1枚がサラッと表示される |
そして、パブリッククラウドのA5と、Windowsホスティングによるプライベートクラウドにより、アプリケーションとデータ連携を可能にしたハイブリッドクラウド環境の構築にも踏み出すという姿勢を明確化しているのだ。
つまり、この資料では、両社がWindows Azureをベースにして、サービス連携を図るという意味が隠されていたというわけだ。
これは、富士通と日本マイクロソフトの関係が、Azureをベースにしながらも、サービスが異なるといった「パートナー連携」の範囲から、サービスそのものを連携する「サービス連携」へと踏み出すことを示したものだといえる。
ここに富士通と日本マイクロソフトとの連携強化の姿がある。
今後、どんな連携が具体的な内容として発表されるのかが楽しみだ。
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