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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第80回

EUがiPhoneでのAppleと携帯キャリアの契約を精査へ

2013年06月12日 12時00分更新

文● 末岡洋子

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影響力は強いが市場は独占していないアップル
正式調査に至る可能性はあるのか?

 今年2月のMobile World Congressでよく聞かれたのが「デュオポリー」という言葉だ。独占を意味する”モノポリー”のモノ(=1社)がデュオ(=2社)になった言葉で、現在の携帯電話市場を主導している、AppleとSamsung/Googleを指している。

 オペレーターの不満は販売奨励金など端末調達にかかるコストやリスクだけではない。スマートフォンがもたらした本格的なモバイルインターネット時代をAppleやGoogleが謳歌する一方で、オペレーターはアプリのエコシステムに参加できず、ユーザーの苦情が出ないように堅牢なネットワークづくりにいそしむばかりだ。

 さらには、主事業の通話やSMSまでもFacebook Messanger、Whatsapp、Viber、Skype、日本でも普及しているLINEなどで代替できてしまう。使い方によっては、携帯電話の電話番号を使うことなくコミュニケーションを取っている人もいるだろう。そうなると、ネットワーク構築のコストを回収するにあたってデータ通信料金がますます重要になるが、ここでは競争が激しい上に欧州ではローミング料金の規制など、収益を上げにくい仕組みもできてしまった。

 iPhoneの登場と爆発的な人気を受け、慌ててiPhoneをラインナップに加え、その後のAndroid旋風が吹き荒れた。オペレーターはアプリストア(Wholesale Applications Community、WAC)の標準化などで対抗を試みたが、消費者のマインドは変えられない。

 ここ最近のFirefox OSとTizenへのオペレーターの支持は、この流れを再び変えたいという願いがある。カスタマイズ性の高さを生かし、たとえばオペレーター主導で動画通話、プレゼンス、チャットなどのサービスのためのRCS(Rich Communication Suite)標準「Joyn」を入れるなどして対抗していきたい、といったところだろう。

 そんなオペレーターの思惑の一方、独占禁止法の適用のためにはiPhoneが市場を独占している必要がある。世界市場では、フィーチャーフォンも含む携帯電話市場のトップはSamsung、スマートフォン全体でもやはりSamsungが優勢だ。欧州に限ってみても、2012年のAppleのシェアは2割強で独占とはいえない。また、iPhoneが提供されていない地区もある。そういったことを考えると、正式調査に至るかどうかはわからない。

 スマートフォン関連ではMicrosoft/NokiaらのFairSearchが4月、Androidを通じてモバイル検索・広告を独占しようとしているとしてGoogleを訴えている(関連記事)。Androidのシェアが半分を超えていることを考えると、こちらの方が正式調査につながる可能性が高いように見える。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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