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国内サーバーの減少とクラウド活性化の関係

2013年06月07日 16時00分更新

文● 宮原 淳(Jun Miyahara)/アスキークラウド編集部

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 IT市場専門の調査会社MM総研は、2012年度の国内パソコンサーバーの出荷台数を前年比4.2%マイナスとなる51万2584台と発表した。サーバーの減少は今後も続く見通しで、2013年度は1.5%減の50万5000台と予測している。

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情報量の増加に逆らい、サーバー台数は減り続けている


 サーバー減少の一方で、クラウド市場は活気づいている。トヨタ自動車は一般向けのウェブサイトを自社運用からパブリックプラウドに切り替えることで、今後5年間でコストを半減できると見積もる。また空調機器の製造・販売を手掛けるダイキンは代理店に5000台のiPadを配布して、パブリッククラウドから製品情報や価格見積もりを配信する営業支援を実施。IT関連企業だけでなく、一般企業もコストや運用面からパブリックプラウドを選択する傾向にある。IDCジャパンは、国内のパブリッククラウド市場は12年~17年に年平均27.8%で成長し、17年には3178億円の規模になると予想している。

 日本市場に目を付けたのが欧米のクラウド企業だ。米アマゾンは5日、企業向けクラウドの新サービス「レッドシフト」を発表した。ペタバイト規模の大容量データを高速かつ効率的に分析するためのもので、費用も従来と比べて10分の1程度。このほかオラクル、グーグル、マイクロソフト、SAPなどが日本企業を狙う。さらにIBMも、パブリッククラウドに強いソフトレイヤー・テクノロジーズを買収。今後、日本の多くの企業が欧米のクラウドサービスにシフトしていくかもしれない。

 こうした状況は国内に用意するパーソナルクラウドから欧米企業が提供するパブリッククラウドへの移り変わりを示していると思うかもしれないが、別の読み取り方もある。MM総研によると2012年度の国内パソコンサーバーの出荷額は2162億円で2.3%伸びており、2013年度は0.8%増の2180億円の見通し。サーバー1台あたりの単価の上昇は性能の向上を意味し、台数減をパフォーマンスで補っているという見方だ。

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アマゾン・ウェブ・サービス公式サイト。先進国ではクラウド化が遅れている日本企業を狙う



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