マイクロソフト・トゥディ 第48回
なぜ、マイクロソフトは「デバイス&サービスカンパニー」を打ち出したのか?
マイクロソフトは、ハードウェアに積極的に介入する
2013年06月06日 21時00分更新
マイクロソフトは、昨年から「デバイス&サービスカンパニー」という言葉を使っている。
創業以来、「ソフトウェアカンパニー」であることを訴え続けてきたマイクロソフトが、なぜ「デバイス&サービスカンパニー」という言葉を使い始めたのか。そして、それが意味するものとは何なのか。
マイクロソフト自身が、ハードウェアに積極的に介入する
米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、5月23日にわずか1日だけ来日した際、マイクロソフトが目指す「デバイス&サービスカンパニー」について、次のように語った。
「私がマイクロソフトに入社したころは、マイクロソフトは、マイクロコンピューティング分野のソフトウェア企業であり、そうあり続けることに確信を持っていた。
しかし、ソフトウェアは、IT業界において今でも引き続き高い価値を持ち続けているものの、ハードウェアとソフトウェアをいかに統合するかが重要な鍵となる形で大きく変化した。それによって、ハードウェアそのものも急激に変革している。
マイクロソフトが目指すデバイス&サービス カンパニーとは、今までのように、マイクロソフトがソフトウェアを開発し、それをOEMベンダーに引き継いで、ハードウェアとして製品化してもらうのではなく、マイクロソフト自身がハードウェアに積極的に介入するというもの。
ソフトウェアとともに、ハードウェア設計のところにも入っていき、新たなデバイスを開発し、OEMベンダーとも協力をしながら市場を創造していくことを示すものである。デバイスに関しても、マイクロソフトが関与しなくてはならない時代に入ってきた」
バルマーCEOは直接的には言及しなかったが、こうした時代の変化を先取りしたのは、アップルのビジネスモデルであることは明らかだ。
タブレット時代の到来をもたらしたiPadは、そのビジネスモデルの代表的な存在だ。アップル自らがOSやアプリケーションを開発し、ハードウェアも独占的に製品化。そして、AppStoreなどを通じてアプリケーションやコンテンツを配信する仕組みを構築した。ハードウェアとソフトウェアが一体化したビジネスモデルによって、タブレットやスマートフォンの世界を作り上げた。
マイクロソフトは、この分野で明らかに出遅れており、それを巻き返すには、従来型のビジネスモデルから、ハードウェアとソフトウェアを連動させ、それをサービスとして提供するビジネスモデルへの転換が必要である。
そこに、マイクロソフトが打ち出した「デバイス&サービスカンパニー」という意味がある。

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