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「一人負け」ドコモが狙うシニア市場

2013年06月04日 16時45分更新

今村知子/アスキークラウド編集部

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5月31日にJTBとの旅行サービス事業で提携を発表したNTTドコモ。両者が狙う新たな顧客は、Webやスマホを使う高齢者層だ。

 NTTドコモとJTBが、5月31日提携を発表した。両者が手を組んで行う事業は、スマホでの旅行サービスだ。

 直営サイト「dマーケット」を使って、スマホでJTBの旅行商品が購入できるようになるほか、宿泊施設や観光地、グルメなどの周辺情報も提供し、さらには現地で地図アプリと連動し道案内もするなど、至れり尽くせりのトータルサービスを展開する予定だ。

 この両者の提携には、双方の新規顧客ニーズの合致が見られる。

 純増数でソフトバンク、KDDIに及ばず、携帯業界で「一人負け」とも言われるドコモは、現在矢継ぎ早にさまざまな業界と提携し、シェア拡大への施策を打っている最中。そこで目をつけたのが、旅先でのガイドブック需要だ。

 若い世代にとって、旅のガイドはもはやネットが当たり前だが、予約サイトも使いこなせない高齢者層にとっては、ガイドブックはまだまだ必需品。そこで、親切な旅の総合案内をすべてスマホでやりますよ、というのがドコモのアピールポイントだ。

 また、JTBにとっても、顧客へのアピールとしてスマホは今後の期待の星。JTBは2013年度を初年度として3カ年中期経営計画を立てているが、その中でWeb事業は重点分野になっている。

JTB
JTBの旅行サイト

 KDDIやソフトバンクに対して、利用者の年齢層が高めと言われるドコモにとって、ITサービスに力を入れようとしているJTBは手を組む相手として相応しいだろう。旅行サービスでもっともお金を使ってくれる顧客は、ガイドブックが必要な高齢者層だからだ。

 実は、60代のインターネット利用率は、2012年で57%と半数以上になっており、この率は7年前と比べて2倍以上だという(電通総研の調査より)。すでに頭打ちになっている現役世代のネット利用率に対して、まだ伸びしろのあるシニア世代は有望な市場だ。

教育分野もシニア世代の取り込みに動く

 この世代に注目しているのは、もともとメインの顧客が高齢者層の業界ばかりではない。例えば、6月下旬にSNSを活用したサービスを始める学研ホールディングスは、学習塾や参考書の出版事業を親子向けに展開している企業だ。

 しかし、同社の知名度は20~30代ではそれほど高くなく、一方でかつて教材で親しんだことのあるシニア世代では圧倒的に認知されている。そこで、祖父母まで含めた3世代参加型のSNSサイト「Wellnote」を運営するウェルスタイルと提携して、シニア世代に孫への学習教室の体験参加や教材の購入を販促する予定だ。

 少子化が進み、今後若年層の消費が伸び悩むことが確実ななか、ITサービスの新たな顧客は、まだまだ開拓の余地が高い高齢者層へシフトする可能性が高い。今後はこうしたシニア世代へ向けた、スマホやWebの取り組みが本格化するのではないだろうか。

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