輝度ムラを極限まで減らしたLA9600
── 最新シリーズでいうと、画質的に注目なのはどこでしょうか?
土屋 まず7シリーズ17モデルのすべてで、色の再現性が高いIPS方式の液晶パネルを採用しています。最近では日本市場でも47インチや55インチといった大きなサイズが売れるようになってきましたが、大画面でVA方式のパネルですと、中央と端で色が変わってしまうものもあります。その点、IPSなら原理的に起こりにくい。さらにLA9600は、直下型のバックライトを使っています。
── どんなところが変わってくるんですか?
土屋 四隅が暗くなったり、中心部だけ明るくなる輝度ムラが解消されます。「NANOライティングテクノロジー」と呼んでいますが、これで輝度の均一性を99.9%にまで向上させました。
あと、LA9600では「Micro Pixel Control」という技術でエリアごとにバックライトをオンオフしていて、黒いところはより黒く、明るいところはより明るくコントロールできます。コントラストや階調表現を突き詰めることで臨場感が格段に高まってきます。
── 画質も含めて、土屋さんも『いいテレビでよかった』という体験がありましたか?
土屋 それはですね……。最近では、「ノーウェアボーイ」というジョン・レノンの若い頃を描いた映画を観たときに感じましたね。劇中、ジョン・レノンがやさぐれてしまって、それを注意したポール・マッカートニーを殴るというシーンがあった。その後にジョンがポールのことを抱きしめて泣くんです。友情というんですか、それを見た瞬間に涙が止まらなくて。
やっぱりフチがほとんどないスリムなデザインのほうが、作品への没入感が全然変わってきます。画質がよければ、イギリスの陰気な感じの天気とか、昔風の古い建物の質感とか、彼らの演技とか、細かな表現がしっかり伝わってきますし。
── 料理も、食べる環境や器などによって味が変わってくるといいますが、映像でも観るテレビによって全然体験が変わってくるんですね。
土屋 そうなんです。同じ映画でも映画館に行って観るのと、レンタルショップで借りてきて観るのでも違いますよね。普通のテレビで何気なく観るとの、画質がいいテレビでリラックスしながら没入して観るのとは、どっちが映画館に近いですか、という。
映像を情報として表示するものがディスプレーで、表現するのがテレビという話はよくいわれますよね。映像のもつパワーや、作り手の思いを受け止めるために、ぜひテレビはいいものを用意してください。
── 最後にLGは今後、スマートテレビをどういう方向に発展させていきたいですか?
土屋 今後もリラックス、メガコンテンツ、サイズアップの3点がポイントですね。今年のCESでは有機ELや4Kパネルのテレビも発表していますので、市場の動きを見ながら新しいデバイスも活用して、リラックス、メガコンテンツ、サイズアップを追求していきたいです。