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2.4兆円市場のカギを握るスマートフォン

2013年05月30日 07時00分更新

文● 宮原 淳(Jun Miyahara)/アスキークラウド編集部

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 家庭向けの情報通信関連サービス市場が2017年度に2兆4208億円、2012年度に比べて44%増加する見込みと富士キメラ総研が発表した。映像配信やオンラインゲームなど、エンターテインメント分野は1兆6913億円(2012年度比133.3%)。電子書籍サービスも拡大し、2343億円の市場になるという。またスマートコミュニティーの推進などで、エネルギー関連の市場規模予測は789億円(2012年度比360%)にもなる。スマートフォンやタブレットは、娯楽からビジネス、生活、エネルギーの分野まで、まさに生活の中心になるわけだ。

 すでにその兆候はある。パイオニアが6月下旬から販売するブルーレイレコーダー「BDP-160」は、無線LANルーターを介さず、直接スマホやタブレットから操作できる。スマホに保存した動画をテレビで再生したり、YouTubeの動画をテレビに転送したりも可能だ。また、シャープが7月から量産する電子部品(モジュール)を使うと、ワンセグ波の緊急放送が受信できるようになる。テレビなどで緊急放送を受信するには常時通電させておく必要があり、従来のモジュールは消費電力が多く、バッテリー駆動の機器には搭載しにくかった。シャープのモジュールを搭載すれば、スマホやタブレットなど、電源をオフにする機会の少ない機器であれば緊急放送を受信して本体を立ち上げたり照明を点滅させたりできるわけだ。

 携帯端末用のOSも、消費電力の少ない方向に進化する兆しがある。「第3のOS」である「Firefox OS」は、「処理能力が高くない端末でも使えるため、低価格のスマホでもサービスを提供できる」(米国モジラ財団の日本法人担当者)。

 しかし、低価格機が普及すれば電子部品も低価格化が避けられない。電子部品の開発・製造・販売を手掛けるアルプス電気は、スマホの高性能機種に向けた電子部品に注力し供給量の拡大を目指すという。すでに、高性能なスマホ用部品は、あらゆる機器をスマート化するのに採用されている。たとえば、トヨタ自動車が6月3日から始める「SmartG-BOOK」(8月以降は月額2500円)は、トヨタのカーナビを搭載した約330万台の車両から発信される位置や速度などの情報をビックデータ化して解析、交通量や通行止めの箇所などを集約するサービスだ。緊急時にはスマホで交通情報や災害時に避難所へのルートも表示されるという。

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トヨタの「SmartG-BOOK」は「ビックデータ交通情報サービス」の1つとして期待されている

 爆発的な普及と性能の高さで、家庭向け情報通信関連サービスはスマホやタブレットなどの情報端末に集約され始めている。これまで主役だったテレビや電話にとってかわっただけでなく、映画、音楽、買い物、車など、あらゆるジャンルの中心に立つ存在になりつつあるのだ。



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