ファンを増やすコツは距離感とキャラを掴むこと
では、ユーザーにファンになってもらうには、どうすればいいのだろうか。本間氏によると、その鍵は「お客様との距離感を理解すること」と、「自社がどんなキャラクターの企業なのかを把握すること」にあるという。
ソーシャルメディアで怖いのが、いわゆる「炎上」。ちょっとした言葉のすれ違いや意見の相違などからネガティブコメントが大量に書き込まれ、コントロールできなくなってしまうような状態のことだ。
本間氏は、「顔の見えないソーシャルメディア上でのやりとりでは、本質的に炎上は避けられない」としつつも、ユーザーと適切な距離を保つことでそのリスクを下げられると指摘する。
「例えば、女の子との距離感を思い浮かべて下さい。単なる女性の友達と恋愛対象の彼女では、距離感が変わりますよね。ここを勘違いして、女性の友達に恋人のようなアプローチをしてしまうと炎上するわけです。モテない男の典型ですね(笑)」(本間氏)。
そうはいっても、ユーザーの性格はさまざま。どのように距離感を測ればいいのだろうか。そこで重要なのが、自社ブランドのキャラクター把握だ。
「僕は『ブランドの類友効果』があると思っているんですよ。ブランドの人格とお客様の性格は似てくるんです。格調高いブランドには、カッチリしたお客様が付く。銀座に店を構えるようなファッションブランドで、お客様にべらんめえ口調で話すなんてことはあり得ないですし、お客様もそれを望んでいないでしょう」(本間氏)。
ソーシャルメディア上のコミュニケーションも同じ。企業自身のキャラクターを省みれば、どのような性格のユーザーが多いのかも把握できる。その上で、ユーザーが企業に期待している態度や距離感で付き合えば、余計な摩擦や衝突を減らせるわけだ。
ちなみに花王は「クールで理路整然としているキャラクター」(本間氏)。実際にソーシャルメディアでのキャンペーンを通じて参加者と交流してみると、客観的で理知的なユーザーが多かったという。
日本企業のソーシャル利用はまだまだこれから。下心を出して炎上を引き起こすのではなく、売り上げもひとまず置いておいて、一歩一歩着実にユーザーの心をつかんでいくのが成功への近道なのだ。