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アストロンに学ぶ、iWatch成功への道筋

2013年05月29日 16時00分更新

文● 伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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──アストロンの開発経緯は?
「もともと、世界中どこでも正確で止まらない究極の時計を作るため、GPSとソーラー充電機能を時計に組み込むという発想に辿り着き、約10年の歳月をかけて開発しました。当初は丸型ではなく、マンボウのような形で、大きさも腕時計と呼べるものではありませんでした。その後、省電力で効率よく受信を行うGPSモジュールや小型のリチウムイオン二次電池とICを組み合わせた新電源システムを開発し、現在の47mmというケースサイズを実現しました」


ここ数年のセイコーは「国産回帰」が進んでおり、アストロンだけではなく「グランドセイコー」の売り上げも伸びている

──セイコー腕時計100周年モデルは?
「実は、2013年は、我々が日本で初めて腕時計を製造・販売してから、ちょうど100年目にあたり、これまでに、100周年を記念した特別限定モデルを各種発表していますが、その集大成と言えるのが、9月発売予定のアストロンの特別限定モデルです。創業者、服部金太郎の名前を冠した時計はこれまで発売されていないので、価値ある1本になると思います。恐らく腕時計は次の100年も変わりません。40mm程度の直径の中にその時代の最先端技術を収めないといけないのです。アップルが考える時計は透明のフィルムかもしれませんが、セイコーが考える時計は透明のフィルムにはなりません。アップルとは、お客さまに夢を与えるビジョンが異なるのです」


 スマートウオッチ市場には、すでに強大なライバルが君臨している。もし本当にアップルが腕時計を開発したとしても、アストロンを越えるためはまず明確な「機能の使用目的」がなくてはならない。アストロンは、時差修正の煩わしさを解消するためにGPSを時計に組み込んだというとてもシンプルな発想から生まれた。後発のスマートウオッチは、単にGPSやBluetoothを搭載したり、iPhoneの補完的な機能を盛り込んだりするだけでは広がらないだろう。何のために使うのか、それはユーザーの生活にどのような変化をもたらしてくれるのか。ここがはっきりしないと、単なるアクセサリー型のデジタルウオッチの用途でしか使われなくなってしまう。アストロンを外してiWatchに付け替える──そんな時代はやってくるのだろうか。


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