フロアに置いたスピーカーで聴いているような低域
AE2は、BOSE製ヘッドホンでおなじみ「TriPortテクノロジー」を使い、小型軽量ながらボトムレンジの強さをうまく演出したモデルだが、AE2wもその基本構造は同じ。TriPortテクノロジーは、ハウジングに3つのバスレフポートのようなものを設定し、アコースティックな手法で低域の再生能力を上げる手法。電気的な信号処理によるイコライジングと違って、ごく自然に、低い帯域からレスポンスを得られる仕組み。
総合的な音の傾向は、低域が強く、かつ中音域の張り出した、よく言われる「BOSEの音」そのもの。だが、低域については不自然にブーストした印象や、飽和して歪んだ感じを受けずに、フロアに置いた大型スピーカーで聴くような音圧感を得ている。高音域とのバランスも良好で、そこは見事というほかない。この音の傾向は、BluetoothモデルのAE2wでも同じ。つまり、プラス1万円で用意されたワイヤレスモデルという位置付けになるのだろう。
ただしAE2wは、Bluetoothコントロールモジュールの信号処理で特性を操作する「アクティブ・イコライザー」が効いているので、ワイやレス時の音は若干異なる。全体的な音の傾向は有線接続時のままで、やや中音域に重点を置きつつ、音量を絞っても低域がはっきり聴こえるようなチューニングが施されているように感じた。違いはその程度で、Bluetoothだからと言って、はっきりそれと分かる高域の損失や、モジュレーションの類は感知できなかった。
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性能に対して価格も妥当
BOSEと言えば、性能はよくても値段がネックで、今一歩踏みとどまってしまうことも多かったが、アラウンドイヤー型の主要なコンペティターを並べてみても、決して高くはない。むしろ、その軽さをメリットと考えれば、お買い得な印象すらあるくらいだ。
コンペチターとなる主なアラウンドイヤー型のBluetoothヘッドホンは、おおむね300g前後。それに対してAE2wはほぼ半分という重さだから、この点ではもう比較にならない。そもそもBluetoothという条件を外しても、AE2wは十分すぎるほど軽いのだ。いま一番軽快で音のいいワイヤレスモデルとしてお勧めしたい。
主な高音質Bluetoothヘッドホンの実売価格と重量 | ||
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製品 | 価格 | 重量 |
Ultimate Ears 9000 (ノイズキャンセリング内蔵) |
3万4800円 | 361g (ケーブル含む) |
Parrot Zik | 3万9900円 | 352g |
SONY MDR-1RBT | 2万6800円 | 297g |
harman/kardon BT | 2万4800円 | 194g |
BOSE AE2w Bluetooth headphones | 2万6250円 | 150g |
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著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。