気になる”倍精度設定”は
謎の残る結果に
さて、GTX780がGK110チップ搭載ということで気になるのが、TITANにあった「倍精度浮動小数点演算専用のプロセッサー」(DP:Double Precision)の存在だ。TITANは標準でこそDPクロックはコアの8分の1に抑えられていたものの、NVIDIAコントロールパネルからの設定変更で同速にできたことから、ショップ店頭では“使用は自己責任だが安価なGPGPU用カード”としても注目が集まった……という経緯がある。
そこで早速、NVIDIAコントロールパネルの設定を確認してみたが、なんとTITANには存在する「CUDA-Double Precision」設定項目が存在しない。
となると、気になるのがGPGPUの演算速度だ。今回は「SANDRA 2013」の「GP演算」でOpenCLによるGPGPU演算性能をチェックしてみた。以前測定したTITANでの結果とは使用しているAPIなどが異なるが、参考としてほしい。
SANDRA 2013 GP演算 | |
---|---|
総合シェーダーパフォーマンス | 1.18 Gピクセル/秒 |
ネイティブ浮動小数点シェーダー | 3.61 Gピクセル/秒 |
ネイティブダブルシェーダー | 388 Mピクセル/秒 |
「総合シェーダーパフォーマンス」は1.18Gピクセル/秒、「ネイティブ浮動小数点シェーダー」が3.61Gピクセル/秒、そしてTITANではDP設定により大きく上がった「ネイティブダブルシェーダー」は388Mピクセル/秒となり、TITANのDP無効・有効の中間に収まっている。
この結果から予想するに、GTX780ではTITANと違い、DPを等速にはできないものの、CUDAコア数減少などによるTDP値の余裕度向上により、標準のDPクロックがTITANより速いのではないかとも思われる。このあたりは謎が残るところとなってしまい申し訳ないところだ。
余談だが、先述の通り、今回の評価キットにはオーバークロックツールとして「EVGA Precision X」が付属していた。そこでPrecision Xの追加ツールとしてEVGAが配布するカード側面の「GeForce GTX」ライトの明るさ設定ツール「EVGA GTX TITAN LED Controller 1.1.0.0」をインストールしたところ、GTX780でも問題なく動作したことを報告しておきたい。こんなところもTITAN譲りと言えそうだ。
性能はまさに狙い通り
問題はやはり価格か
ここまでGTX780を見てきたが、その実力は確かなものだと感じる。GTX680が現状でもかなりの高性能であることを考えると、それに比べてもきっちりと性能と電力効率を向上させたことで、十分に後継モデルを努められる存在になっていると言えそうだ。
ただしネックはやはり価格。基本構成がメモリー容量を除いて“ほぼTITAN”である点や、昨今の円安を考えるとGTX680より高くなるのは納得できる点もあるが、それでも製品登場時において2万円以上のアップは、後継を名乗るには無視できない価格差と感じる。いい製品だけに、ぜひとも市場価格の動向(と、ライバルであるAMDのプレッシャー)に期待したいところだ。
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