最新ユーザー事例探求 第29回

Office 365やSalesforce、MDMまでクラウドで

ミルボンが最強のモバイルワーク装備にこだわる理由

UltrabookとiPhoneで最強のモバイルワーク装備を構築

　あわせて、これらクラウド型アプリケーションを営業部隊が効率的に利用できるよう、最新のUltrabookとスマートフォンが導入されている。“フィールドパーソン”と呼ばれるミルボンの営業マンには、パナソニックの「Let's Note CF-AX2」と、KDDIのiPhoneとLTEカードが貸与される。見れば分かるとおり、コストよりも性能や使い勝手を最優先した、妥協のない製品チョイスだ。

ミルボンが導入したパナソニックの「Let's Note CF-AX2」

　Let's Note CF-AX2のような最新Ultrabookは起動も速く、営業マンに無駄な時間を浪費させない。また、メールや業務アプリの一部のみの利用が限界のiPadに比べても、はるかに利便性が高いという。「開いたらすごい速いし、営業マンのモチベーションは本当に上がりますよ」（伊藤氏）。

　一方で、iPhone導入はさまざまな経緯があったようだ。もともとケータイに関しては、情報企画室ではない管理部が管轄していたが、フィーチャフォンでもパケット通信すらオフにしていた状態。よくも悪くも、いろいろな使われ方をされてしまうスマートフォンへの移行はかなり慎重だった。しかし、情報系システムの刷新とともに、管理部から経営戦略部に管轄を移した結果、“業務システム用端末”としてのスマートデバイス導入がようやく遡上に載った。

　2010年頃から情報企画室が導入を検討し始めたが、当時のスマートフォンやタブレットはまだまだ過渡期だった。しかし、その後iOSの機能が大幅に強化され、ビジネスでの利用事例やキャリアの選択肢も増えた。その結果、アプリの作り込みや端末管理の機能がやりやすいiPhoneの導入が決まったという。「やはり美容師さんとか、ファッション業界の人はMacとか、iPhoneのユーザー多いですから、いいコミュニケーションのきっかけになってますよ」（伊藤氏）。

美容師さんとかはiPhoneユーザー多いですから、いいコミュニケーションのきっかけになっています（伊藤氏）

　こうした充実した最新のモバイルワーク装備は、営業マンがビジネスを外出先で業務を完結できようにした同社のポリシーから来たものだ。「Ultrabookとしては最高峰のLet's Note CF-AX2は、正価でも1台20万円は超えます。もちろん、毎月のパケット通信のコストも馬鹿になりません。でも決算を見ていただければ、こうしたモバイルワーク装備がなにをもたらすのかは明らかです」（畠中氏）とのこと。創業以来つねに右肩上がりという同社の売り上げに、きっちり貢献しているわけだ。

セキュリティは必須だが
VPNは使いたくない

　Office 365やSharePoint Online、そしてSalesforceなどのクラウドアプリケーション、iPhone＋Ultrabook＋LTEというまさに最強のモバイルワーク環境を整えたミルボンだったが、セキュリティは課題だったという。畠中氏は、「会社で認めた端末だけにSalesforceやSharePointを使わせるようにするには、どうしたらよいかが課題でした。ただ、管理が面倒なのでVPNは使いたくありませんでした」と説明する。

　こうした課題を解決すべく、ミルボンが導入したのがアイキューブドシステムズのMDM（Mobile Device Management）システムである「CLOMO MDM」だ。同社では、イントラ用のポータルアプリをiPhone用向けに作り込むことで、デバイス認証とActive Directoryのユーザー認証を連携させ、クラウドアプリケーションをセキュアに利用する環境を構築。さらにCLOMO MDMの機能を使って、アプリの配布や制限、盗難・紛失への対応を実現している。

　CLOMO MDMに行き着いた理由は、機能面で絞り込みをかけた結果だという。「当初はデバイスの種類が決まってなかったので、AndroidもiOSも対応できること、デバイス認証や独自のアプリが配れること、グローバルで使えることを条件に選びました」（畠中氏）とのことで、意外とスムーズに決まったという。

（次ページ、個人のApple IDでアプリもインストール可）